開発担当者が作成した文書を運用担当者が引き継ぐだけでは、保守開発のスピードは上がらない。文書の管理をツールで効率化する必要がある。障害発生などの緊急時、必要な文書をすぐに入手できるようになる。
大和総研
運用現場での障害調査を補助
Livelink など
障害が発生したとき、解決に必要な文書を探す時間がかかってしまっては、対処に遅れる。大和総研の開発部門は、障害にもすぐ対応するために「障害調査補助ツール」を自社開発した。このツールは、エラーメッセージとそれに関連した文書をひも付けるツールだ。これにより、文書を探す手間を大幅に短縮できた。
同社では、設計書や仕様書などの文書を二つのツールを使って管理している。コンテンツ管理ツールの「Livelink」と、過去の障害対応情報を管理する自社開発のWebアプリケーション「品質評価システム」だ。これらと、障害調査補助ツールを連携させて、短時間で必要な情報にたどり着く方法を実現した。
メッセージと文書をひも付ける
障害調査補助ツールを導入する以前、運用担当者はLivelinkや品質評価システムを起動し、メッセージに含まれる単語を指定して文書を検索していた。
多くの場合、複数の文書がヒットする。それらを一つずつ開いて中身を確認し、必要な文書を見つけ出す。そのため、目的の文書にたどり着くまでに時間がかかっていた。
障害調査補助ツールを使うと、検索や文書を一つひとつ開いて確認する手間が省ける。同ツールには、エラーメッセージに関連した文書の保存先URLが、あらかじめ登録してある。このエラーメッセージと関連文書とのひも付けは、開発担当者が運用担当者にシステムを引き渡す段階で登録しておく。
障害が発生するとログ情報を記載した通知が、運用担当者に送られてくる。運用担当者は障害調査補助ツールを起動し、通知に記載されたログのメッセージをキーワードにして検索を実行する。類似したエラーメッセージの一覧が表示されるので、メッセージのテキスト部分をダブルクリックする(図1)。すると、障害が発生したシステムに関連した文書の保存先URLが表示される。URLをダブルクリックするとLivelinkが起動し、該当する文書が表示される仕組みだ。
先ほどの類似したエラーのメッセージ一覧で、対処方法を知りたいメッセージを選択して右クリックで「過去障害」を選択する。すると、Webブラウザーが起動し、品質評価システムに登録してある過去に発生した類似のエラーと対処方法が表示される。