ここ数年で、暮らしや仕事のあり方を一変させた「クラウド化の波」が確実にゲーム業界にも押し寄せている。ゲームの処理をクラウド上で行い、様々なデバイスでのプレイを可能にする「クラウドゲーム」の市場が、従来の専用機によるゲームやブラウザーゲーム、スマートフォンのゲームアプリの次の座を狙い、立ち上がろうとしているのだ。

 ソニー・コンピュータエンタテインメントは2014年1月8日、プレイステーションのクラウドゲーム「PlayStation Now」を2014年夏から提供開始すると発表した。このような「クラウドを活用したゲームサービス」の発表は、2013年以降、ゲーム業界を中心に相次いでいる。

 2013年6月に米国・ロサンゼルスで開催された世界最大のゲーム関連カンファレンスの一つ「E3(Electronic Entertainment Expo)」では、ソニーや米マイクロソフトがクラウドを活用したゲーム戦略を発表した(図1-1)。日本でも、2013年4月にブロードメディアがクラウドゲームプラットフォーム「G-cluster」を発表。同時期に、NTTドコモとスクエアエニックスが共同で、タブレット向けのクラウドゲームの提供を開始するなど、多くの動きがあった。

図1-1●ソニーなど大手がクラウドゲームに本腰
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 クラウド時代におけるコンテンツサービスは、従来の業界の構造を大きく変化させるインパクトを持つといえる。その代表例が音楽業界である。既に音楽業界では、「ハード」(CD)販売中心のビジネスから「ソフト」(MP3、ストリーミング)配信中心のビジネスへとシフトしはじめている。

 クラウドゲームもこれと同様のインパクトをもたらす可能性がある。クラウドゲームが本格化すれば、ゲーム専用機とゲームコンテンツの関係が薄れ、従来のゲーム機やゲームパッケージ販売のビジネスから、ゲームコンテンツ配信ビジネスへと変化することになる。クラウドゲームの本格化は、音楽業界と同様に、ビジネスモデルからマネタイズの手段まで、様々な構造的な変化をゲーム業界にもたらすだろう。

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