日経SYSTEMS編集長 森重和春

 10月27日から11月5日まで、東京ビッグサイトで第45回東京モーターショーが開催されている。今回のモーターショーで最も注目を集めている技術といえば、やはり自動運転車と電気自動車だろう。IT×クルマの最新技術には、IT専門媒体の編集という仕事の上でも、クルマを運転する一消費者としても注目している。

 筆者は今回、かなり久しぶりにモーターショーの会場に足を運んだ。しかし、会場に足を踏み入れて最初に浮かんだ感想を正直に言えば、「ずいぶん地味になったなぁ」というものだった。

 初めて東京モーターショーを見に行ったのは、1987年の第27回。当時学生だった筆者は、東京・晴海の国際見本市会場を、足を棒のようにして歩き回った覚えがある。まだバブル景気の真っただなかで、豪華なコンセプトカーが多数出展されていた。ちょうど、スポーツカー人気が沸騰していた頃である。クルマに詳しい方なら、日産のR32型スカイラインGT-Rやマツダのユーノスロードスターが登場する2年前、ホンダのNSXが登場する3年前といえば、時代感が分かるだろうか。

 社会人になってからは、会場を千葉・幕張メッセに移して3回目、1993年の第30回を見に行った。バブルがはじけた後だったが、当時のモーターショーらしい豪華さは健在で、15日間の来場者数は180万人を超えていた。

 四半世紀前と比べるのはナンセンスだが、当時の記憶をたどると、今回のモーターショー会場は、エンターテインメント的な盛り上がりはかなり控えめである。自動車の未来を見せるコンセプトカーやデザインスタディモデルは思いのほか少ない。モーターショーの場で発表され、初めて目にするような新型車はほとんどない。一般消費者向けのイベントとしては、少し寂しく感じる。