日経コンピュータ編集長の大和田 尚孝
日経コンピュータ編集長の大和田 尚孝

 人工知能(AI)の普及が進んでいる。囲碁や将棋でプロに勝つだけでなく、コールセンターに寄せられた顧客の質問に回答したり、工場設備の故障やサイバー攻撃の兆候を検知したりと、様々な事例が出てきている。

 今後どこまで広がっていくのか、日経コンピュータに掲載した記事などの事実を基に、AIとの対話を想像してみた。



編集長「日本経済新聞と英フィナンシャル・タイムズの調査では人に関わる2000種類の仕事のうち3割がロボットに代替可能なことが分かったというね。経理の仕事やレストランの店員などもAIの進化によってなくなる可能性が高いという調査もある。ざっくり言うと、単純作業はAIに任せて、人間は複雑な作業や創造的な仕事に専念するようになるのだろうか」

AI「大きな流れとしてはそうだと思います。編集長に分かりやすいように雑誌の編集作業を例に取れば、企業が発表した決算内容を伝える速報記事などはAIによって自動生成する実験が進んでいます。記事に盛り込む内容がある程度決まっているのと、過去の発表データや記事データが大量にあるため、AIが学習しやすく、代替しやすい業務と言えるでしょう」

編集長「そのとおりだ。発表内容を丸写しする記事を書いていたらいずれAIに職を奪われてしまうよと、記者にもよく注意しているんだ」

AI「でも、AIに代替されるのは単純作業だけでは済まない可能性があります」

編集長「というと?」