日経NETWORK編集長 森重和春
日経NETWORK編集長 森重和春

 情報処理推進機構(IPA)は2017年6月21日、初めての「情報処理安全確保支援士試験」(支援士試験)の合格者を発表した。筆者はその2カ月と少し前の4月16日、この試験を受験した。自信がなかったので合格発表は見ないぐらいのつもりだったが、やはり気になって発表とほぼ同時にサイトで確認した。結果はといえば、なんとか合格していた。

 合格したら記事を書く。そうまわりの何人かに宣言していたので、受験日からはかなり日がたってしまったが、この場を借りて体験記をお伝えしたい。

情報処理安全確保支援士試験の成績照会ページ
情報処理安全確保支援士試験の成績照会ページ
受験番号と受験票に記載してあるパスワードを入力すれば、合否と成績を照会できる。
[画像のクリックで拡大表示]

 情報処理安全確保支援士は、従来情報処理技術者試験の一つだった「情報セキュリティスペシャリスト試験」(セスペ試験)をベースに、登録制度を持つ国家資格として新たに始まった。対象者像は「サイバーセキュリティに関する専門的な知識・技能を活用して企業や組織における安全な情報システムの企画・設計・開発・運用を支援し、また、サイバーセキュリティ対策の調査・分析・評価を行い、その結果に基づき必要な指導・助言を行う者」である。IPAはセキュリティ専門家を認定する資格としており、スキルレベルはITスキル標準(ITSS)のレベル4に当たる。

 筆者はセキュリティ専門家ではなく上記の対象者像とは異なるが、日経NETWORKに所属し、日々情報セキュリティに関する情報を発信している立場だ。編集部では、これまでセスペ試験の問題解説書籍「絶対わかるセスペ」を半年ごとに発行してきた。支援士試験の制度解説や2016年10月のセスペ試験問題解説などをまとめた「絶対わかる情報処理安全確保支援士」も2017年2月に発行している。

 新設された支援士試験がどのようなものかを自ら体験し、今後の情報提供に生かしたい。自分の実力を試したい気持ちもあり、受験を決めた。

試験内容や難易度はセスペ試験を踏襲

 まずは受験当日の状況を簡単に振り返る。筆者の受験会場はさいたま市の芝浦工業大学。会場に到着すると、案内の看板が情報処理技術者試験とは別に出ていた。制度としては情報処理技術者試験とは別立ての資格なので、看板も別というわけだ。

[画像のクリックで拡大表示]

 ただそれ以外は、ほかの情報処理技術者試験と変わりはない。筆者は2016年4月には、情報処理技術者試験に新設された「情報セキュリティマネジメント試験」(セキュマネ試験)を受験した。そのときと比べても、会場の様子や試験の進め方は同じだ。セキュマネ試験はユーザー部門の担当者向けで、難易度はセスペ試験より低い。そのため受験者の年齢はセキュマネ試験のほうが低いかと思ったが、試験会場を見渡した印象ではあまり違わない。20代らしき若い人も多いし、50代ぐらいの年配者もいる。

 今回の試験の合格者の平均年齢を見ると、支援士試験は36.5才で、セキュマネ試験は38.1歳。支援士のほうが平均年齢が低いのは意外だが、ほぼ同じといえるだろう。