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編集長の眼

イチロー選手並みの集中力に?マインドフルネスを体験してみた

小林 暢子=日経情報ストラテジー 2017/03/14 日経情報ストラテジー
日経情報ストラテジー編集長の小林 暢子

 「マインドフルネス」という言葉をご存じだろうか。

 メンタルトレーニングの一種で、瞑想を通じて心の状態を整えるというもの。仏教やインドのヨガで行われてきた瞑想を基に、宗教色を取り除いて開発された。これが今、企業の研修に取り入れられているという。米グーグルや米インテルなどのグローバル企業が採用し、日本でもヤフーなど導入企業が増えている。

 宗教から派生したメンタルトレーニングはこれまでにもあった。代表例が「内観法」。数日かけて子供のころからの出来事を思い出し、事実をありのままに見る眼を養う手法だ。新人社員研修に取り入れる企業もある。

 マインドフルネスの特色は、個人の考え方を変えるだけでなく、「仕事の生産性を高める」ことに寄与する点だ。瞑想を通じてストレスを軽減し、集中力を高めるのだという。米大リーグのイチロー選手が、試合前のルーティンとして取り入れているというエピソードも広く知られる。

 「働き方改革」の機運が高まる一方で、「仕事が減らないのに時短だけ推進されても困る」という声も挙がっている。集中力を高めるマインドフルネスのトレーニングは、規定時間内の仕事のアウトプットを増やすために役立つのではないか。そう思っていたところ、編集部のN記者が「マインドフルネス研修を体験できる機会がある」と教えてくれた。早速2人で参加させていただくことにする。

「今、ここ」だけに注意を向ける

 向かった場所は新宿の高層ビルにあるインナーコーリングのオフィス。人材会社エン・ジャパンのグループ企業で、個人や企業向けにマインドフルネスのトレーニング・プログラム「COCOKURi」を提供する。

 マインドフルネス研修を手掛ける企業は増えているが、COCOKURiの特徴は集中度を「見える化」できることだ。メガネ製造販売のジェイアイエヌが開発した「JINS MEME(ミーム)」を使って、瞑想中の集中力の推移などを数値化する。その仕組みは後述する。

 研修講師を務めるのは、COCOKURiマスターコーチの井上広法氏(写真1)。浄土宗光琳寺副住職で、佛教大学卒業後、東京学芸大学で臨床心理学を学んだ。仏教と心理学の両面からマインドフルネスに注目し、プログラム開発に至ったという。

写真1●COCOKURiマスターコーチの井上広法氏
[画像のクリックで拡大表示]

 研修ではまず、マインドフルネスの原理を学ぶ。「注意力のトレーニングであり、外部から与えられる刺激を、ワンクッション置いて取り入れることでコントロールしやすくなる」と井上氏。過去の記憶や将来への不安に囚われず、「今、ここ」に注意を集中することが重要なのだという。

 「今、ここ」に集中するとはどういうことか。それを体感するため、「レーズンエクスサイズ」を行った。干しブドウを一粒口に入れ、3分かけて味わう(写真2)。「自覚的にかんだりなめたりしてください。ひとかみするたびに自分に許可を取って」と井上氏から指示が飛ぶ。「干しブドウ1個に3分をかけて食べるなんて無理」と思ったが、意外にもしっかり3分持った。「丁寧に味わう」という、普段はなかなかできない体験になんだか心が躍る。

写真2●干しブドウ1粒を3分かけて食べてみる
[画像のクリックで拡大表示]

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