2014年7-9月期国内総生産(GDP)の速報を聞きながら、本稿を書いている。事前の民間エコノミストの予想は平均2.5%増と比較的ポジティブだったが、結果は既報の通り、実質年率1.6%減と大きく落ち込んだ。

 GDPの内容に関する分析は専門家に譲るとして、気になったのは「どうしてこれほど大きな乖離が生じたか」ということだ。企業の在庫調整の影響や設備投資の回復を読み切れなかったというエコノミスト諸氏の意見は、一見もっともらしい。ただ本来、その見極めこそがGDP予測の本質であるはずだ。それなのに、エコノミストのほとんどが、見通しを読み違えた。

 一方筆者は、一人の生活者の実感として今回GDPが上がるとは、全く思えなかった。筆者に限らず、現場を直視している多くの方が同様に感じていたのではないだろうか。

 大都市圏だけで生活していると見えにくいが、地方経済は総じて疲弊している。生産拠点が海外に移転しつつあり、将来にわたって「仕事がない」という状態に近づいている。

 こうした先行きの不安に対し、打開策は見当たらない。日本社会の半分を占める地方部で、生産も消費も停滞するのであれば、GDPの低下もさもありなんだ。

「MVNOがここまで急成長するとは」

 これは何もGDPの予想に限った話ではない。様々な分野で、世の中の動向がその筋のプロにも分かりにくくなっているのではないだろうか。あるいはプロゆえに見誤るということが、筆者がお手伝いする分野でも増えているように思える。