米国現地時間9月9日、この時期、IT業界ではもはや恒例といえる米アップルの新製品が発表された。今回は画面を大型化した「iPhone 6」と「同Plus」が予定されていたこともあり、多くの注目を集めていた。

 そうした中、同じく登場したのがウエアラブルデバイスである「Apple Watch」である。これも以前から噂されていたので、発表自体に驚きはなかった。腕時計型のスマートデバイスは、既に複数の事業者が発表済みだ。そのため、後発となるアップルがどのようなデザインや機能を搭載してくるのかという点に注目していた。

 本稿執筆時点で実機を手にとってみたわけではないので、以下はあくまで参考程度の所感としてお考えいただきたい。筆者の第一印象は「予想以上に保守的なデザイン」と感じた。少なくとも、iPhone登場以前のスマートフォンの世界にiPhoneが革命を起こしたような、他社が嫉妬するような圧倒的な斬新さは今回見当たらない。

 著名工業デザイナーのマーク・ニューソン氏がアップルに合流したことが事前に発表されたこともあり、新しいパラダイムを打ち出してくるという予測もあった。しかし見た目は至って普通の腕時計だ。機能面でも、筆者自身が今年のMobile World Congress 2014で見た韓国サムスン電子のスマートウォッチと大差ないように思える。

身体性の制約を受けるウエアラブル

 あのアップルが作っても陳腐になるとは─。ウエアラブルデバイスに期待する向きは、ちょっとした失望を覚えたのではないだろうか。しかしそれは、ウエアラブルであるがゆえの宿命なのかもしれない。