オリンピック・パラリンピックは、本当に間に合うのか──。といっても、間もなく開催されるブラジル・リオデジャネイロの話ではない。2020年に予定されている、東京2020オリンピック・パラリンピックである。

 少し前に東京オリンピック・パラリンピックのメインスタジアムとなる新国立競技場の建設予定地近くを訪れた。野原と化したままの光景に正直驚いた。この7月で、ちょうど東京オリンピック・パラリンピック開催まであと4年。余裕を持って予行演習に臨むためには、さらに前倒して開催の1年前には準備をしておく必要がある。つまり残り1000日余りしかない。組織委員会をはじめ当事者の方々は、胃の痛む日々が続いているだろう。

 新国立競技場は、超大規模なICT利活用の最前線としての期待も高い。競技場自体が大規模な構造物であり、ケーブルや電源の引き回しだけでも困難を伴う。また、映像や音声などのコンテンツも当然ながら4K/8Kといった超高品質が求められる。そしてテロ対策も含めた21世紀の現実を踏まえれば、極めて高い信頼性やセキュリティが必要だ。

 2020年という年代を考えれば、観客が生み出す膨大なトラフィックも無視できない。収容人数が巨大なうえに、高品質動画の投稿や視聴が、ソーシャルネットワークを介して行われるだろう。通信インフラとしてのハードルの高さは相当なものだ。

 一方で東京オリンピック・パラリンピックは、日本のICTのショーケースとして、最先端技術による新しい提案のまたとない好機である。特に、人工知能やロボットの台頭を受け、オリンピックだけでなくパラリンピックが果たす役割も大きい。