米グーグルが新しいSNSを発表した。「Spaces」と名付けられたサービスは、小人数のユーザーグループがYouTubeをはじめとした他のGoogleサービスを、アプリを離れることなくコンテンツなどを共有できる。さらに、グループチャット機能にも力を入れている。

 ここまでの説明で、「既視感たっぷり」という第一印象を抱く読者も多いと思う。少なくとも筆者自身は、FacebookやLINEなどのサービスを足して割ったにすぎないように思えた。

 もう少しビジネス側に興味のある方であれば、「グーグルも懲りないなあ」という感想も挙がるだろう。SNS黎明期に「orkut」や、その後「Google+(プラス)」とサービスを投入するものの、ビジネスとして軌道に乗らなかった。サイバー空間の巨人であるはずのグーグルにとって、SNSはやはり鬼門のようである。

Gmailに代わる認証基盤を求めたか

 現時点では、それほど深く使ってみたわけではないので、Spacesの成否についての判断は保留したい。一般論としては、米フェイスブックをはじめとしたSNSの先行者たちも既に他方の巨人であり、簡単な競争ではない。ただ、Twitterは世界中で修羅の世界と化しており、Facebook も最近では「SNS疲れ」が目立つ。付け入るスキがないわけではない。

 それよりも筆者は、グーグルがどうしてSNSで何度も「リベンジ」を繰り返すのかに興味がある。

 実は筆者は、グーグルにとって「SNSが必要な理由」を、同社の“中の人”と話したことがある。そのやり取りを踏まえたあくまで筆者自身の私見だが、グーグルは「Gmail(およびそのメールアドレス)に代わる認証管理基盤」を求めているのではないだろうか。

 Webメールサービスはおろか、電子メールの代名詞的な存在となったGmailは、ベイジアンフィルターを用いた優れたスパム対策と、アーカイブしたメールの検索性の高さによって、電子メールそのものを“延命” させた。実際、Gmailの機能を使わずにメールを使っていたら、スパムやウイルスで一瞬のうちに機能不全に陥るだろう。