4月14日以降、熊本県を中心に大規模な地震が続いている。本稿執筆時点では大きな余震も続いており、また避難生活が困難を極めているとの情報も多く耳にする。被害に遭われた方にお見舞い申し上げるとともに、こうした状況は残念ながらまだ続くと思われるため、何卒ご無理のないように過ごしていただければ幸甚である。

批判にさらされたLINE Out

 本稿執筆時点では、被害の全容はいまだ明らかではない。今回もICTに関連した様々な課題が生じている。TwitterやFacebookなどのSNSで飛び交うデマ、災害用伝言板の使いにくさ、キャリアWi-Fi無料開放のそろわない足並み──。そうした中で今回、波紋を呼んだのが、LINEによる通話料の無料化という措置である。

 LINEから固定電話・携帯電話への発信を可能にする「LINE Out」は、通常は当然ながら課金対象である。今回LINEは、被災地への安否確認などの利便を図るため、1通話最大10分まで無料とした。

 ところがこれが、Twitterなどで多くの批判にさらされた。まとめると、ただでさえ輻輳が起きている状況なのに、むしろ電話利用を助長して輻輳に拍車をかけるとは言語道断、という意見が大勢だったように思う。

 確かに、トラフィックが集中すると輻輳を来すのは、多くの人が理解している。回線交換網の構造からも明らかだ。従って、トラフィック需要が逼迫しやすい災害発生時には、できるだけトラフィックを発生させないことが必要で、それが通信事業者による発信規制の根拠でもある。

 しかしこれは、あくまで対象が「回線交換網」の中に閉じた電話の場合に限った話だ。それを、今回のLINEの対応にそのまま敷衍することが、本当に妥当なのだろうか。