ITpro読者の皆様、明けましておめでとうございます。2016年もよろしくお願いします。

 新年に相応しい話題は何かと考えた末、「自分が所属している組織の実力を自分で確かめてみる」ということを思いつきました。確かめてみて所属先に実力があると分かれば、安心して仕事に取り組めます。足りない点に気付けば手を打てます。実力があまり無いと気付いた場合、転職転身を検討したくなるかもしれませんが、むやみに危機感を煽るつもりはありません。

 組織の実力を確かめる前に、組織とは何か、実力とは何かを定義する必要があります。まず、ITpro読者の皆様が所属している組織はすべて対象とします。

 いわゆるユーザー企業(情報システム部門や情報システム関連会社あるいは事業部門)と、いわゆるITベンダー企業です。ITを使ってビジネスをしている企業はすべてITベンダーに含めます。先々、ユーザーとベンダーという分け方は無くなっていくでしょう(関連記事『[情報システム責任者の過去、現在、未来 2]2050年の情報システム部門 「つなぐ」役割は必ず残る』)。

 以上の組織に共通する実力として「ソフトウエア実現力」というものを考えました。「組織の目的に合うソフトウエアを実現できる力」です。ユーザー企業であれば、自社のビジネスに必要なソフトウエアを用意し、利用する力を指します。ソフトウエアを内製しているなら実現力とは開発力ということになります。

 ユーザー企業が求めるソフトウエアを受託開発するITベンダーであれば当然、開発力が実現力になります。パッケージソフトやクラウドサービスを手掛けるITベンダーであっても、やはりソフトウエアを開発する力が実現力となります。

 それならソフトウエア開発力と言えばよいではないかと思われたかもしれません。わざわざ実現力という言葉を持ち出した理由は、内製していないユーザー企業も多く、その実力を開発力とは呼びにくいからです。また、パッケージソフトないしクラウドサービスのベンダーの場合、売り物はパッケージやクラウドの機能であり、開発力そのものではありません。

 ソフトウエア実現力をさらに八つの力に分けてみました。ソフトウエアそのものを実現する(開発する)力として「提案する力」「設計する力」「実装する力」「仕切る力」があります。さらに、こうした四つの力を支える力が別途、四つあると考えました。「育つ力」「経験を活かす力」「先を読む力」「夢見る力」です。