「自分が何かできると想像したことは、ほぼ開発できる」――。岐阜県羽島郡にある松波総合病院副院長で診療局長の松波和寿氏は、データベースソフトの「ファイルメーカー(FileMaker)」を使う理由についてこう語った(写真1)。

写真1●松波総合病院副院長で診療局長の松波和寿氏
写真1●松波総合病院副院長で診療局長の松波和寿氏
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 Macintosh向けのデータベースソフトとして登場したFileMakerは現在、「様々な業種の“変化を必要とする部署”で、自分が意思決定をする人に多く使われている」(ファイルメーカー日本法人社長のビル・エプリング氏)という。

 特に日本では、教育や法務などのほか医療の現場に浸透しており、医師自身がFileMakerを駆使した業務アプリを開発し日ごろの業務を効率化しているという。実際にFileMakerでアプリを開発した医師の声から、なぜFileMakerが医師の心をつかんで離さないのかを探ってみた。

iPhone/iPadと連動するプラットフォームに

 その前に少しだけ筆者の体験も交えて、FileMakerの歴史を振り返ろう。当時、職場でMacintoshを使っていた筆者が、FileMakerを利用し始めたのは1992年頃のこと。FileMaker Pro 2にバージョンアップする前後だったはずだ。当時から、データテーブルの設計と画面のデザインが容易という特徴があり、柔軟なアウトプットが可能なデータベースソフトとして重宝した記憶がある。

 当時はカード型のデータベースソフトで、既にWindows版も提供されていたものの、Macintoshで利用される例が圧倒的に多かった。当時の開発元だった米Claris社はその後改組して、現在のFileMaker社(米アップルの子会社)となっている。

 FileMakerは進化の過程で、サーバー機能やリレーショナルデータベース機能を搭載し、Web公開機能やモバイル連携機能も強化してきた。最近では、iPhoneやiPad、iPod touchからサーバー上に作り込んだソリューションを利用できるようにする「FileMaker Go」を提供。データベースというよりも、ユーザーが開発したアプリケーションを動作させるプラットフォームへと進化を遂げている。