大谷翔平選手が米大リーグのエンゼルスに入団することが決まった。大リーグというと、日本のプロ野球にもまして契約金や年俸が高いイメージがある。しかし今回の大谷選手の契約では、それほど大きな金額は動いていないという。

 ポスティングと呼ばれる移籍システムを使って大リーグ球団との契約に至ったわけだが、このシステムには契約金や移籍金について一定の条件がある。それに基づいて、エンゼルスから元の在籍球団である日本ハム・ファイターズへ、2000万ドル(約22億7000万円)が支払われる。

 大谷選手の契約金はというと、231万5000ドル(約2億6000万円)というから驚きだ。ダルビッシュ有投手、田中将大投手の移籍時には数十億円、あるいはそれ以上の規模の契約金が発生していたはず。日米でこれだけ話題をさらった選手の年俸としては安すぎるのでは、という印象だ。

 ここでふと考える。IT業界トップ経営者たちの報酬を大谷選手の契約金と比べたとき、どのくらいの違いがあるのだろうか。

ソフトバンク孫氏と比較してみた

 日本企業の経営者が受け取る報酬は、欧米や中国の経営トップと比べて、比較的低いと言われることが多い。しかし異例の格安年俸で契約した大谷選手と比べれば、多くの報酬を受け取っているのではないか。

 まずは日本のIT企業トップとして世界的に知られる、ソフトバンクグループの孫正義代表取締役会長兼社長の報酬と比べてみよう。「もちろん孫氏だろう」と思うかもしれないが、今回は「IT企業経営トップとの比較」だ。

 そこで、有価証券報告書の提出会社であるソフトバンクグループの役員報酬と比べることにする。孫氏の全ての年収ではない点に、ご留意いただきたい。

 2016年度の有価証券報告書によると孫氏の役員報酬は、基本報酬が1億1700万円、賞与が2200万円だった。合計すると、1億3900万円である。2億円には届いていない。

 大谷選手の契約金は2億6000万円なので、大谷選手のほうが高報酬ということになった。

 なおこの3年間、孫氏のソフトバンクグループ(ソフトバンク)における報酬はそれほど変わっていない。2014年度は1億3100万円、2015年度は1億3000万円だった。