2016年は、情報処理推進機構(IPA)が実施する情報処理技術者試験に新しい試験が加わった。

 「情報セキュリティマネジメント試験」(以下、セマネ)だ。

 ところが始まったばかりの試験に対して、2016年4月に実施された最初の試験(平成28年春期試験)の合格発表後に、「合格しても価値がないし意味がない」「受験料のムダ」といった意見がネットに書き込まれた。きっかけは、合格発表と一緒に公表された合格率だ。

「88.0%」

 この合格率は、情報処理技術者試験の過去最高の数字であり、受験者10人中9人弱が合格するという数字だ(図1)(関連記事:関連記事「なんと88%!?新試験「情報セキュリティマネジメント」の合格率」)。この高すぎる合格率が、先ほどの書き込みにつながったようだ。

図1●セマネ平成28年春期試験の得点分布。合格ラインである6割以上の得点者を破線で囲んだ
図1●セマネ平成28年春期試験の得点分布。合格ラインである6割以上の得点者を破線で囲んだ
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 ところが、2016年10月に実施された2回目の試験(平成28年秋期試験)では、合格率が70.3%で約18ポイントも下がった。大幅な変化に戸惑う声もあったが、ネット上にはポジティブに受け止める書き込みが多く見つかる。

 2回目で合格率が下がったのは、問題の難易度が上がったからなのか。セマネはどうしてここまで合格率が高いのか。出題された問題やIPAが公表する試験に関する統計情報を見ながら分析してみよう。