マイナンバー制度で希望者に無償交付される個人番号カード(マイナンバーカード)の申請数が1日当たり10万件に上り、年内にも累計数百万枚に達する見込みだ。一方、与党が2015年12月16日に公表した2016年度の税制改正大綱は、企業がマイナンバーを扱う場面を減らすことを盛り込んだ。年末にかけて再びマイナンバー制度の法令変更が公表される予定で、企業の対応が進むか試練になりそうだ。

写真●日本経済団体連合会のマイナンバー制度説明会
写真●日本経済団体連合会のマイナンバー制度説明会
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 日本経済団体連合会は2015年12月14日、マイナンバー制度説明会を開催した(写真)。満席となった会場では、内閣官房の向井治紀審議官をはじめ、特定個人情報保護委員会や国税庁、総務省、厚生労働省の担当者がそれぞれ制度を解説した。説明会で使われた資料は関係省庁による最新の情報として、経団連のホームページで公表されている。

 実は経団連は、9月下旬にもマイナンバー法の施行直前に説明会を開催していた。その後、行政機関が企業を通じて個人に戻す源泉徴収票といった「戻り帳票」にマイナンバーを記載しないように法令の変更があった。そのため経団連は、現時点での情報を改めて把握して、2016年1月からの実務開始に備えるという趣旨で説明会を開催した。

 ところが皮肉にも、与党税制改正大綱を受けて、今回の説明会でも再び制度変更の予定が公表された。このほかにも説明会ではマイナンバー制度の将来像が説明された。主なポイントを紹介したい。

給付付き税額控除とセットだったマイナンバー

 最初に講演した内閣官房の向井治紀審議官は、制度全般に非常に誤解が多いとして、マイナンバー制度が作られた経緯を説明。この中で、向井審議官はマイナンバー制度の目的を明快に語った。