7四半期ぶりのプラス成長である。

 調査会社のIDC Japanによれば、2017年第2四半期(4~6月)の国内サーバー市場出荷額は前年同期比0.6%増の1014億円。2015年第3四半期(7~9月)以来、7四半期ぶりにマイナス成長から脱した。

 市場反転の原動力の1つになったのがx86サーバー、いわゆるPCサーバーの平均単価上昇である。全出荷台数の99%を占めるPCサーバーのうち、単価が比較的高い2ソケット型が半数を占めた。

 もっとも、サーバー市場全体が長期的に伸び悩んでいる傾向には変わりない。IDC Japanの下河邊雅行 エンタープライズインフラストラクチャ リサーチマネージャーは「国内においてもクラウドサービスの台頭は顕著。更新需要に頼ったサーバービジネスでは、今後、国内サーバー市場は縮小する一方だ」と指摘する。

商材としてのPCサーバー、魅力をどう高めるか

 サーバー市場が長期低迷にあるなかでメーカーにとってより重要になっているのが、パートナー企業の存在だ。日々ユーザー企業と接して情報化に関する悩みを聞き集めているパートナー企業が「売りたい」「売りやすい」と思える商材をいかに提案できるかがカギとなる。 IDC Japanの下河邊リサーチマネージャーも単に魅力的なマージン(販売手数料)やインセンティブ(販売奨励金)を設定するだけでなく、「ITを活用したニュービジネスを提案するなど、ITバイヤー(パートナー企業)が得られる様々なベネフィットを訴求していくことが求められている」と指摘する。

 パートナー企業自身も、単なる値引き以上のものをメーカーに求めているようだ。「各メーカーの製品が備える機能が均一になって特色がなくなり、価格だけで競争するようになっている。それでは技術が業界として進化・浸透しないのではないかと不安に感じる」。あるパートナー企業の担当者は、こう打ち明ける。こうしたパートナー企業が感じる不安や苦言は、メーカーに対する期待の裏返しと言えるだろう。

 そして商材としてのハードウエア製品の中で、売れ筋であり、商談の柱となるのは、なんといってもPCサーバーだ。コモディティー(日用品)化したと言われて久しいPCサーバーだが、付加価値を高める余地はまだまだある。

 象徴的な例がハイパーコンバージドシステム(HCI)だろう。PCサーバーに、サーバー仮想化ソフト、ストレージ仮想化ソフト、管理ツールで構成する大型商材だ。多数のPCサーバーを並べ、スケールアウト方式で性能を高めることができる。パブリッククラウドのIaaS(インフラストラクチャー・アズ・ア・サービス)などの機能を備えたミドルウエアを搭載してハイブリッドクラウド基盤を構築するなど、次世代のITインフラとして本命視されている。

 米ガートナーは2020年ごろまでにHCIが企業ITインフラの主流になるだろうと予測している。価格は様々だが千数百万から数千万円ほど。こうした製品なら、PCサーバーのカテゴリーではあっても大きな付加価値を感じられる。