政府情報システムの整備・管理のあり方を規定する“憲法”とも言える基本ルールが、IT総合戦略本部の各府省情報化統括責任者(CIO)連絡会議で2014年12月3日に決まった。2014年度中に実務手引書を作成し、15年度が始まる4月1日から施行する。14年度中に調達手続きを行う案件については、一部の規定を先行して適用する。

 政府システムを整備・管理するための新しいルールの名称は、「政府情報システムの整備及び管理に関する標準ガイドライン」。既存の4つの指針「業務・システム最適化指針」「情報システムに係る政府調達の基本指針」「行政機関におけるIT人材の育成・確保指針」「電子政府ユーザビリティガイドライン」を一本化して置き換える格好になる。既存の指針は適用対象を特定の行政分野のシステムに限っているが、新しいガイドラインは原則すべての政府システムに共通のルールとなる。

 政府のIT施策を主導する遠藤紘一政府CIOは、13年5月に内閣情報通信政策監に正式就任して以降、システム最適化に向けた方策を矢継ぎ早に打ってきた。政府IT関連施策の戦略的予算重点方針の提示・ヒアリングや、政府クラウド基盤である「政府共通プラットフォーム」への移行によるシステム刷新の数値目標設定、政府システムの情報を公開するサイト「ITダッシュボード」の開設などである。今回の標準ガイドラインは、既存の指針を基に、新しい一連の取り組みの考え方を反映して体系化したものになっている。

 例えば新ガイドラインでは、要件定義の非機能要件に関して、「政府共通プラットフォーム等、府省共通システムが提供する稼働環境、サービス等を最大限利用する」「クラウドコンピューティングサービスの活用についても検討する」としている。米オバマ政権が打ち出した「クラウドファースト」政策ほど明確ではないものの、クラウド重視の方針を明文化したことになる。