個人の所有物やスキルなどを一時的に利用してもらうようなビジネス、いわゆる「シェアリングエコノミー(共有型経済)」が注目を集めている。自宅が空いている日や空きスペースを宿泊場所としてネットで仲介するビジネスを展開する米Airbnbや、自家用車をタクシー代わりに使えるようにするサービスを提供する米Uber(日本国内ではタクシー/ハイヤーの配車サービスのみ提供)などが代表的だ。

 国内でも、12月上旬に開催された「Infinity Ventures Summit 2014 Fall」内のスタートアップ企業コンテストで、駐車場の空きスペースをネットで仲介するサービス「akippa(あきっぱ)」を提供するギャラクシーエージェンシーが優勝するなど(関連記事)、シェアリングエコノミー関連の話題は増えている。

 税理士や社会保険労務士など士業に携わる人が自分の空き時間などを利用してネットで相談に応じる“士業クラウド”「Bizer(バイザー)」(提供はビズグラウンド)もそうしたビジネスの一つだ(関連記事:月額2980円のクラウド税理士相談、“価格破壊”ができるわけ)。

 ネットを使った仲介サービスは米国発祥のビジネスだと思われがちだが、実は2008年、米国でAirbnbが設立されたのとほぼ同時期に国内でもシェアリングエコノミーの先駆けとも言えるサービスが立ち上がっている。空きスペースの貸し借りをネットで仲介する軒先(東京・目黒)だ。

 同社は空きスペースの仲介サービス「軒先.com」(2015年1月より「軒先ビジネス」に変更)、駐車スペースの仲介サービス「軒先パーキング」を展開する。軒先パーキングは、前述のakippaとも競合するサービスである。軒先の法人化は2009年だが、サービス自体は2008年から提供されている。

利用者はイノベータ―やアーリーアダプターばかりではない

写真●軒先 代表取締役の西浦明子氏
写真●軒先 代表取締役の西浦明子氏
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 そんな軒先のサービスの利用者像を、自称“スキマハンター”、代表取締役の西浦明子氏(写真1)から聞いて筆者は多少驚きつつも納得した。

 筆者は当初、こうしたサービスを使うのは、マーケティング用語で言うところのイノベータ―層(新しいものを真っ先に採用する層)やアーリーアダプター層(流行に敏感で他者に影響を与える層)だと思っていた。また、仕事でもプライベートでもネットを使いこなすような層に“響く”サービスだとも考えていた。だが、話を聞くと決してそうではない。

 西浦氏は、空きスペースを借りる側のユーザーについて次のように説明する。