Googleは毎月のように、新サービスや新製品を発表しているが、その一方で既存のサービスや製品のブランドを終わらせている。2016年には以下のサービスやブランドを実際に終了させたり、終了することを宣言したりした(表1)。

表1●2016年に終了または、終了することを宣言した主なGoogleのサービス
サービス名概要
Picasa写真共有サービス。Googleフォトに移行。
Hangouts on Airライブ動画配信。YouTubeライブに移行。
NexusGoogleのスマートフォンブランド。Pixelに移行。
Project Araモジュールを組み合わせて使うスマートフォン。計画を中止。
ChromeアプリブラウザーのChromeで動作するアプリ。
2016年8月に2018年までに終了すると発表。
Google Compare金融商品の比較検討サービス
My TracksAndroid向けのGPSロガーアプリ
Panoramio地理情報付き写真共有サービス。
Googleマップ/ローカルガイドに移行

 PicasaとかChromeアプリといったメジャーなものから、組み立てて使うスマートフォン「Project Ara」のようにプロトタイプだけで終わったものまで、いろいろあるが、既にユーザーがついているものについては、代替となるサービスがほぼ用意されている。いろんな意味で維持が難しくなったサービスをまずは終わらせて、新規のサービスで前のサービスの機能を継承しながら、より強化するというのがGoogleの戦略、というところだろう。

 一方でサービスを使ってきたユーザーからすれば、Googleの戦略がどうであれ、長年使ってきたサービスが終了することは簡単には納得できない。署名を集めてサービスの延命を願い出るケースもある。Googleとしてもユーザーあってのサービスで、新規のサービスに乗り換えてもらえないと意味がない。そこそこデリケートな問題だ。

 そういった複雑な経緯の末、なんとか終了に持ち込めたサービスが、表1のなかにある。地理情報付き写真共有サービスの「Panoramio」だ。

 Googleは2014年9月にPanoramioを閉鎖する予定だと発表し、2年以上たった2016年11月にやっと閉鎖に持ち込んだ。2014年の閉鎖発表のあと、延命に向けた署名活動が起き、さらに移行先としていたGoogleの新サービスが移行前に終わってしまう、といったトラブルがあっての閉鎖だ。

 筆者は2008年からPanoramioを利用して、1300点の写真を登録してきた。閉鎖の発表当初は、移行先に手ごろなサービスがなく、延命を嘆願する署名活動にも協力した。ここでは、ユーザーとしての経験を踏まえて、Panoramioの閉鎖までの経緯と、移行先について解説し、Googleが目指しているものを考えてみたい。