ここ1年ほどで目にする機会が多くなったキーワード「ワークスタイル変革」。働く時間や場所に柔軟性を持たせることで、生産性を向上させたり、従業員の仕事と生活のバランスを取りやすくしたりする取り組みのことだ。

 こうしたワークスタイル変革は、ソリューションを売り込む立場であるベンダー自身が実施しているケースが多々ある。率先して業務に取り込むことで、より現実的、効果的な売り方をできるようにするためだ。

写真●富士ソフト執行役員 技術本部副本部長 ITマネジメント部部長の山岡寛典氏
写真●富士ソフト執行役員 技術本部副本部長 ITマネジメント部部長の山岡寛典氏
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 富士ソフトもワークスタイル変革を進めたベンダーの1社だ。米シトリックス・システムズの仮想デスクトップ環境をまず導入、その後リモートデスクトップアプリケーションの「Splashtop」(米スプラッシュトップ)を軸にして、場所を問わずに業務を続けられる体制を作った。その経緯と、変革のポイントについて同社執行役員、技術本部副本部長、ITマネジメント部部長の山岡寛典氏(写真)に聞いた。

「シンクライアントは高くって…」

 富士ソフトがワークスタイル変革に取り組んだ一番の目的は「企業としての生産力の確保」(山岡氏)だ。家族の事情で引っ越さざるを得ない、育児や介護の都合で固定された時間では働きにくい、そうした従業員に対して「どうしても会社に出てこなければならない状態を解消する」(山岡氏)ことを目標にした。

 富士ソフトは元々、時間や場所をあまり拘束しない規定になっている。時間はフルフレックスで月間の契約時間を満たせばよく、サテライトオフィスが近場にあればそこで業務をすればよい。日本各地に散らばる拠点を一つのドメインで管理して、どこからでも社内のサーバーにアクセスできる環境は10年以上前に整えていた。