「我々の顧客の中でもネットフリックスほどすごいところはない。便利なOSS(オープンソースソフトウエア)をいくつも開発しており、借りが多い」――。

 こう語るのは米アマゾン・ドット・コムCTO(最高技術責任者)のヴァーナー・ボーガス氏だ。米アマゾン ウェブ サービス(AWS)が開催した最大の年次イベント「re:Invent 2016」で、2016年12月1日(米国時間)に実施した基調講演での発言だった。

米アマゾン・ドット・コムのヴァーナー・ボーガスCTO(最高技術責任者)
米アマゾン・ドット・コムのヴァーナー・ボーガスCTO(最高技術責任者)
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 re:Invent 2016では30近い新サービスや機能強化が発表された(関連記事:MSやIBM追撃の会話アプリ向け「Amazon Lex」など、AWSが15サービス投入AWSが運用管理を大幅強化、CIの「CodeBuild」など12サービスを追加)。現地取材の詳細なレポートは、日経クラウドファースト1月号に掲載するが、その一部を先にお伝えしよう。

 同イベントを取材したのは、2014年に続いて二度目となる。2014年の時もMySQL互換のデータベース「Amazon RDS for Aurora」や、イベント駆動型コード実行の「AWS Lambda」など、多数のクラウドサービスの発表があった(関連記事:目玉はRDBエンジンとコンテナ管理---AWSが11のクラウドサービスを一挙投入)。

1兆円企業になっても機能更新のペースは緩めず

 正直、当時発表を聞いた時点では、AuroraやLambdaが企業の情報システムの進化に与える影響の大きさを十分理解できていた訳ではなかった。その後2年が経ち、Auroraの採用例は増えるばかり。Lambdaに至っては、「サーバーレス」アーキテクチャー実現の要石となっている。