2017年2月末に発売5周年を迎えるPCボード「Raspberry Pi」。ラズパイの愛称で知られる、手のひらサイズのARMプロセッサ搭載機だ。クレジットカード大の基板にUSBポートや有線/無線LANといった外部インタフェースを一通り備えながら、4000円台で購入できる。「誰でも入手できる教育用のコンピュータ」という設計思想を、CPUに周辺機能を統合した中核チップ(SoC)の大量調達で実現。価格をほぼ据え置きながら着実に出荷数を伸ばし、2016年9月に累計で1000万台を突破。PCボードのトップに上り詰めた。
ラズパイに続けとばかりに、「Pi」を冠したPCボードが登場し始めたのは2014年のこと。クラウドファンディングを場に注目と資金を集めたものの、その多くが本家の価格性能比に及ばず程なく市場から消えていった。しかし一つだけ、着々と後継機を送り出す挑戦者が残っている。中国Shenzhen Xunlong Softwareの「Orange Pi」だ(写真1)。
2015年に登場したOrange Piは、SoCに安価なAndroid端末で広く使われている「Allwinner」シリーズを採用。4コアCPUモデルで15ドル、ギガビットイーサネット対応モデルで約20ドルと、Raspberry Piに価格競争を仕掛け続けている。