【記者の眼】

社長も事業部門も説き伏せ、私たちがやる

谷島宣之=日経BP総研 2017/12/04


 「電話を受けるだけのコールセンターにとどまらず、こちらからお客様に電話をかけ、商品をご案内することで、大受注センターにしてやろうと思っています」

 「我々の改善提案に社内で異論が出たので、弊社の代表、各部門の責任者が同席する場を設け、改善案を決めてもらいました」

 「30年間、商品企画を担当しており、常に10年先を見て商品を展開するよう心掛けています」

 ある発表会で聞いた発言の一例である。実に気持ちがいい。三人に限らず、登壇者は全員、「私たちはこうしました」「こうします」と一人称ではっきり語る。自ら考え、やってのけ、誰かの協力が必要なら説得して取り付ける。そうした姿勢を全員が見せていた。

 「わがままな客が悪い」「現場を分かっていない社長が駄目だ」「声だけ大きい営業部門がごり押しする」といった、あちこちで聞かされる二人称の発言、いや、愚痴とは無縁だった。

 発表を聞いていて「進取の気象」という言葉を思い出した。この原稿を書くために広辞苑を引いたところ、進取は「自ら進んで事をなすこと」、気象は気性で「生まれつきの性情、心だて、気だて、気質」と出ていた。生まれつきかどうかはともかく、「自ら進んで事をなす」事例ばかりが発表された。

業務改善に加え、事業を拡大する取り組みも

 この発表会は一般社団法人CRM協議会(藤枝純教会長)が11月10日に開催した「2017 CRMベストプラクティス賞 事例紹介」である。同賞を受賞した企業・団体16組と、「2017 CRM奨励賞」受賞企業1社が登壇し、CRM事例を17件発表した。CRM協議会は「顧客中心主義経営」の普及と高度化に取り組んでおり、企業・団体におけるCRM(顧客関係管理)の事例からベストプラクティスを見い出し、表彰する活動を2004年から続けている。

 CRMに含まれる活動は様々だが受賞者の多くはコールセンターあるいはコンタクトセンターに属していた。顧客からの問い合わせや苦情を電話や電子メールで受ける役割で、失礼ながら裏方というか縁の下の力持ちというか、そういう部門である。だが、問題に気付き、対策を考え、実行し、成果を確認し、さらに手を打つ改善活動をしっかり実施している。

 業務の改善にとどまらず、業務そのものを拡大していく意気込みも示された。冒頭に紹介したのは、自動車整備業向けにパッケージソフトを販売するブロードリーフのコールセンター責任者の発言である。CRM協議会は表彰した取り組みにそれぞれ名称(モデル名)を付けており、ブロードリーフは「消耗品のアウトバウンドコールによる受注改善モデル」として評価された。

 同社は消耗品の販売も手がけており、顧客である自動車整備工場や部品商に向けて、消耗品が無くなる前にコールセンターから連絡し、注文を受ける活動を始めている。営業部門が担当してきた受注業務の一部をコールセンターが受けることになるから、「コールセンターの担当者が嫌がらないか」「営業が心配しないか」などと思ったが、顧客の評判は良く、消耗品販売に貢献できたそうだ。

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