皆さんは、ITproの連載「10人のIT部門が消滅~ひとり情シス顛末記」をお読みになっているだろうか。毎週木曜日に記事を公開しているが、連載当初から多くの読者の注目を集め人気連載となった。楽しみにしている読者も多いかと思う。この記者の眼では「ひとり情シス」について私から問題提起したうえで、読者のアンケートを募り、著者の成瀬雅光氏に皆さんの意見をぶつけて見解を問いたいと考えている。

 「ひとり情シス」と言えば、技術者、特にユーザー企業のIT部員の人たちには“不吉なワード”のはずだ。IT部門が大幅なリストラに遭ったり、もともと一人しか担当者がいなかったりと企業によって事情は様々だが、たった一人で企業の情報システムを担当している状態を指す。中堅中小では以前から、IT担当者が一人しかいない企業もそれなりにあったが、最近では規模の大きな企業でも、この「ひとり情シス」が増えつつある。

 その典型例が、成瀬氏が描く「ひとり情シス顛末記」の世界だ。実は、製造業の某中堅企業の現役IT担当者だ。10人の部員がいたIT部門がリストラにより消滅、成瀬氏も他部署に異動になったが、プログラムを書けるバリバリの技術者であったためか、200台のサーバーから成る全社のシステムの管理・運営を、たった一人で全て任されることになった。

 この話だけを聞くと、まさに「ひとり情シス」の悪いイメージ通りの世界だ。連載当初にはソーシャルメディア上で、「それってブラック職場じゃないのか」といった意見が数多く見られた。さらに「一人の担当者の頑張りに依存するのは企業として問題」とか、「もしこの人が病気で倒れたり、退職したりしたらどうするのか」といった企業のIT運営体制の問題を指摘する声も多かった。

 確かに企業のIT運営体制の面では「ひとり情シス」はリスクありである。だが大企業のIT部門でも人員削減、システムのサイロ化の結果、各システムの担当者はたった一人というケースが増え、「この人が倒れたらどうするのか」状態にある(関連記事:大企業のIT部門も「ひとり情シス」状態、実はそれ以上にひどいぞ)。つまり今や「ひとり情シス」問題は、多くの企業に共通の問題になっているのだ。