「おや、様子がおかしいな」。エレベーター保守の担当者が、点検中のエレベーターをのぞき込んでいる。点検部分の異常は、担当者の経験したことないものだ。点検しているのは、エレベーターの開発から製造、メンテナンスまで手掛けるフジテックのフィールドサービス部門の担当者だ。
担当者は私用のスマートフォンを取り出し、搭載するカメラで点検部分を撮影。離れた作業場所にいる別の担当者に、スマホのアプリで送信した。利用したアプリは、米グーグルの提供するビデオチャットツール「Hangouts」だ(写真1、写真2、写真3)。
このように、フジテックではフィールドサービス部門の担当者が、メンテナンス作業にスマホのチャットツールを活用している。Hangoutsを活用するモバイル端末の台数は2015年10月時点で300台以上だ。
「それまでは主に電話を利用していた。しかし、電話をかける先の担当者の手が空いていないと、つながらない。手が空くまで待つのは、非効率だった」。フジテックでCIO(最高情報責任者)をつとめる友岡賢二 執行役員 情報システム部長はこう話す。同氏はファーストリテイリングで業務情報システム部の部長を務めていたこともある人物だ。
Hangoutsは、グーグルの提供するグループウエア「Google Apps for Work」を導入しているユーザーなら無料で利用できる。同社がGoogle Apps for Workを導入したのは、2014年3月のことだ。Hangoutsを利用開始したのは、2014年9月のこと。従業員はAndroidやiOSを搭載するスマホやタブレットなどで利用する。いわゆるBYOD(私物端末の業務利用)だ。