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記者の眼

戸籍のマイナンバー対応を阻む2つの壁

井出 一仁=日経BPガバメントテクノロジー 2017/11/17 日経BPガバメントテクノロジー

 マイナンバー制度が2017年11月13日に本格始動した。マイナンバーを用いて行政機関間で住民個人情報をやり取りする「情報連携」と、政府内でやり取りされた自身の情報を確認したり様々な行政サービスの窓口として利用したりできる個人用のポータルサイト「マイナポータル」がともに同日、試行運用から本格運用に移行した。

 情報連携は、各行政機関が持つ個人情報を、マイナンバーをキーにして連携させる「情報提供ネットワークシステム」によって実現している。まずは853の行政手続きの際に、住民票や課税証明書の添付が不要になった。例えば、ひとり親家庭などが児童扶養手当を申請する場合には、これまで必要だった住民票や課税証明書、特別児童扶養手当証書の提出が要らなくなった。

 提出が不要になる時期は手続きによって差があるが、最も身近な公的書類と言える住民票は今後、民間事業者などに提出を求められた場合を除いて、目にする機会はほとんどなくなるはずだ。

戸籍法改正法案は2019年の国会提出を目指す

 住民票と並んで個人にとってなじみの深い公的書類に戸籍がある。その戸籍をマイナンバーに対応させるための法制化の取り組みが、時を同じくして本格化した。住民票や課税証明書と同様に、マイナンバーに基づく情報連携によって行政機関への戸籍謄抄本の提出を不要にすることで、国民の利便性向上と行政事務の効率化という効果を見込んでいる。

 戸籍のマイナンバー対応は、制度設計の当初から政府のスコープには入っていた。ただ、法整備やシステム開発のスケジュールと予算の制約や、情報連携の難しさなどから、“先発隊”からは外れていた。

 とはいえ、政府は2014年6月の「世界最先端IT国家創造宣言工程表」に戸籍事務でのマイナンバー利活用の検討方針を明記している。実際に戸籍法を所管する法務省が同年10月に研究会を立ち上げて、検討を重ねてきた。2015年10月に施行されたマイナンバー法には、施行後3年をめどに見直しを検討して、必要な場合は所要の措置を講じるという規定があり、それにのっとり着実に歩を進めてきたわけだ。

 研究会は2017年8月に最終取りまとめを公表し、それを受けて上川陽子法務大臣は9月19日に法制審議会に戸籍法改正を諮問した。同審議会は戸籍法部会を新設して審議すると決定。10月20日に第1回会合を開いて神戸大学大学院法学研究科の窪田充見教授を部会長に選出し、法制化に本格着手したところだ。同部会で法案の原案となる要綱を作成し、審議会の検討を経て、2019年の通常国会に戸籍法改正法案を提出する方針である。

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