最近のクラウド全般のトレンドとして顕著なのが、適材適所でクラウドを使い分けようという動きだ。例えば日立製作所は2014年10月から、オンプレミス(自社運用)のプライベートクラウドを含め、複数のクラウドを一元的に利用できるようにするクラウド運用基盤「フェデレーテッドクラウド」を順次提供開始している(日立、300人体制でクラウド製品サービス群を新たに体系化)。

 フェデレーテッドクラウドでは、ユーザーが運用するプライベートクラウドに加え、日立のデータセンターで提供するパブリッククラウド(マネージドクラウド)と、米アマゾン・ウェブ・サービス(AWS)や米マイクロソフトといったパートナー企業が提供するパブリッククラウドを一つの画面で操作できる(写真1)。

写真1●種類の異なる複数のクラウドを一つの画面から操作できる「フェデレーテッドポータル」
写真1●種類の異なる複数のクラウドを一つの画面から操作できる「フェデレーテッドポータル」
画面は開発中のイメージ
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 画面では複数クラウド上の仮想サーバーの監視状況の一覧表示や、仮想サーバーの追加・削除、構成・電源状態の変更、ロードバランサーのポリシー変更などが行える。それぞれの操作履歴も表示する。ほかにもストレージやメモリーのリソースがしきい値を超えた場合に、警告を表示するといった監視機能などを備える。

 フェデレーテッドクラウドには日立自身のパブリッククラウドも含まれるが、これは日立が管理・運用を手がけるため価格よりも高信頼性を重視している。日立としては価格重視でクラウドを選択したいユーザーに選択肢を与える意味で、パートナー企業との提携強化に乗り出した。

 日立製作所の情報・通信システム社システム&サービス部門CEOを務める塩塚啓一執行役常務は、フェデレーテッドクラウドの意義をこう語る。「我々が提供するクラウドサービスでは、要件定義から設計まできちっとやるため、時間がかかることがある。一方、AWSやAzureなどを試してみたいという顧客も増えてきた。こうした要望に応えるめに、フェデレーテッドクラウドを提供することにした」。