ここ最近、ベンダー各社からIoT(Internet of Things:モノのインターネット)関連のクラウドサービスの発表が相次いでいる。

 例えば米アマゾン・ウェブ・サービス(AWS)は2015年10月8日(米国時間)に、IoTアプリ構築向けサービスの「AWS IoT」を提供開始した(関連記事:IoTアプリ構築向けの「AWS IoT」が登場、100万メッセージで8ドルの従量課金写真1)。

写真1●AWS IoTを発表した米アマゾン・ドットコムCTO(最高技術責任者)のバーナー・ボーガス氏
写真1●AWS IoTを発表した米アマゾン・ドットコムCTO(最高技術責任者)のバーナー・ボーガス氏
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 NTTコミュニケーションズも2015年10月8日に開催した自社イベントで、2016年春にIoT(Internet of Things:モノのインターネット)基盤サービスを提供すると発表している(関連記事:通信コスト武器にクラウド普及を狙う、NTTコムが描くIoT戦略写真2)。

写真2●NTTコミュニケーションズが2016年春の提供開始を目指すIoT基盤サービスの概要
写真2●NTTコミュニケーションズが2016年春の提供開始を目指すIoT基盤サービスの概要
(NTTコミュニケーションズの講演資料を抜粋)
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主眼はビッグデータ分析

 これらのサービスの特徴は、IoTの数ある用途の中でも特にビッグデータ分析に主眼を置いている点だ。大量のIoT機器に取り付けたセンサーデータを収集し、クラウド上で分析することで、機器の保守業務の効率化や顧客の需要予測などに生かす。

 多数の機器によって大量かつ高速に生成されるデータからビジネスに有意な知見を得るには、人力では限界がある。そこで必要になるのが、機械学習などの人工知能(AI)の活用だ。

 AWSは2015年4月に、機械学習のクラウドサービスである「Amazon Machine Learning(ML)」を投入している(関連記事:アマゾンがビッグデータ施策を拡充、機械学習やファイルストレージのサービスなど)。

 マイクロソフトは2015年2月に、同様の機械学習サービスである「Azure Machine Learning(ML)」を正式リリースしており、企業の利用・検討数で一歩リードしている。Azure MLの発表自体は2014年6月だ(関連記事:Microsoft、機械学習のクラウドサービス「Azure ML」を発表)。

 例えば竹中工務店は東京都千代田区の大手センタービルで、空調の運転状況から温度センサー情報まで、ビル制御に関する全てのデータをマイクロソフトのクラウド上に蓄積し、Azure MLの活用につなげている。