「ヒアリングやインタビューは消費者の本音を聞くのに有効。でも実は本音の裏にもう1つの“ホンネ”があるんです」──。調査やデータ分析で発見できた意外な事実について取材を進めているなかで、こんな話を聞いた。「データ分析が生んだ50の発見」(2014年10月末発行の日経情報ストラテジー12月号で紹介)という特集記事企画に関しての取材だった。

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 その企業は、マーケティング調査会社のリサーチ・アンド・ディベロプメント(R&D)。同社では様々な調査の1つとして、定期的に60~70代の女性モニターに集まってもらい、リラックスした雰囲気で普段の生活で感じていることや考えていることをざっくばらんに話してもらうグループインタビュー「iDOBATA KAIGI」を実施している。

 冒頭の話は、iDOBATA KAIGIでインタビュアーを担っているR&Dマーケティング・ソリューション部の堀好伸ビジネスプロデューサーから聞いたものだ。その一例が、離れて暮らす孫についてだ。iDOBATA KAIGIを開始した当初は、「孫との再会は楽しみ」「孫はかわいい」といった声が多かった。

 ところが回を重ねていき、モニター同士が親密になってくると「孫が家にいるのは3日で十分。それ以上いられたら困る」「孫にかけるお金は交際費として割り切っている」といった、ドライな声が多く聞かれるようになったという。堀氏は「かわいいことも本音。しかし3日以上いられると困るといった声もホンネ。シニア世代は本音の裏にもう1つのホンネを隠し持っていることが見えてきた」と話す。

 実はこの特集記事の取材では、R&Dだけにとどまらず、他の企業のデータ分析担当者からも「ヒトはホンネを隠し持っている」という調査・分析結果を多く耳にした。

 「主要駅改札内の店舗であるエキナカをなぜ利用するのか」を探ったジェイアール東日本企画では、利用顧客にアンケートを実施したところ「便利だから」というものが主だった。ところが深層心理を探る調査・分析を行うと、もう1つのホンネが出てきたという。