会計検査院は9月、政府が進める情報システム改革に関する報告書を取りまとめた。22府省の情報システムを統合・集約するクラウド基盤「政府共通プラットフォーム」について、整備・運用の状況を検査したものである。検査は移行状況、運用経費、整備・運用の効率化、セキュリティ対策、データ連携の5つの観点で実施。いずれも不十分と指摘した。政府情報システム改革を主導する内閣情報通信政策監(政府CIO)にダメ出しをした格好だ。

 報告書のタイトルは、「政府の情報システムを統合・集約等するための政府共通プラットフォームの整備及び運用の状況について」。政府がめどとしている2021年度までの政府情報システム改革に寄与することを目的とし、会計検査院法に基づいて国会(両院議長)と内閣(首相)に提出された。

 検査の結果である「所見」には、厳しい表現がずらりと並ぶ。「移行による統合・集約化は限られたものとなることが予想される」「システム数と運用コストの削減の目標に対して果たす役割は、当面は限定的なものとなる」「必要と想定されたITリソースの規模と移行後に実際に必要となるITリソースの規模との間にかい離が生じているおそれがある」「情報セキュリティに係る要件を定義する際に担当府省でリスク評価を実施していない」「データ連携の基盤として構築していない」といった具合だ。通知表なら「もっとがんばりましょう」といったところだろう。

 なぜ、ここまで厳しい評価となったのか。報告書を見ていくと、評価する際の基準の置き方によって、これまでの政府による説明とはギャップが目立つ厳しい評価に結び付いた箇所があることがわかった。