日本ハムの二刀流こと、大谷翔平選手のメジャー移籍が話題になっている。23歳という年齢は早すぎる気もするが、メジャーを熱望しながらプロ野球界にとどまった経緯を考えれば、当然の流れといえそうだ。もはや「なぜお前もメジャーに行くのか?」と嘆くよりも、大舞台での雄姿を早く見たいと思うファンが多いのではないだろうか。

 一方、IT業界でも外資企業への〝移籍”が増えているようだ。特に人材流入が多いのは外資系コンサルティングファーム。例えばアクセンチュアの場合、毎月百人規模の中途採用を実施しており、現在の社員数は約9000人。この1年で、社員数は約1600人も増えたというから驚きだ。

 リクルートキャリアが2017年10月12日に発表した調査によると、国内全体の転職求人倍率は1.90倍。これに対して外資企業が多いとされるコンサルティングファームは6.17倍に上る。売り手市場なだけに条件も良い。優秀なITエンジニアが外資企業に移籍するのもうなずける。

外資企業に人が集まる3つの理由

 採用意欲が旺盛な外資企業はコンサルティングファームだけではないようだ。最近はデジタルビジネスの拡大に伴い、外資系製造業によるITエンジニアの採用も活発だという。筆者の周りでも、技術者や研究者がこぞって外資企業に転職している。だが、そもそも外資企業の在籍経験がない筆者にとっては「なぜお前も外資に行くのか?」と不思議でならなかった。

 そこで外資企業に勤める技術者や研究者に、なぜ外資企業なのかを聞いて回った。すると納得感のある答えが返ってきた。理由は大きく3つに分類できる。

 1つは「正当な評価」。端的に言えば、パフォーマンスに応じた処遇である。国内大手ITベンダーに勤める50歳前後の部長職の年収はおよそ1200万~1400万円といわれてる。これに対して外資企業では30代、それも30代前半で同水準の年収を手に入れられる場合がある。40歳前後で年収1500万円超のITエンジニアも珍しくない。

 これは成績や稼働率などの実績に応じたインセンティブの割合が高いからに他ならない。「外資企業に入れば誰でも安定した高収入を得られるわけではない」とあるベテラン技術者は釘を刺す。評価が下がれば収入も下がる。その納得感が、向上心の高いITエンジニアに受け入れられているようだ。