前回執筆した「壊れる予兆を確認したのに「まだ大丈夫」でデータが全部消えた」とその前の「脆弱性を突かれて、実家と自宅の250kmを一晩で往復した話」は、いずれも書いた本人が驚くほど読まれた。自らの失敗をさらした日記のような内容だったのだが、読者の方がバックアップやセキュリティについて改めて考えるきっかけとしていただけたのなら幸いだ。

 今回は、小型コンピュータ「Raspberry Pi」を使った話だ。といっても、何かと組み合わせて今まで思いも寄らなかった用途に使ったとか、特性を引き出すような高度な使い方をするといった、真面目な活用例ではない。

 我が家の子どもの夏休みの自由研究、そのテーマにRaspberry Piを選んだのだ。具体的には「Scratch(スクラッチ)」で動くゲームと、「GPIO」に接続する段ボール製デバイスを子どもが自作した。Scratchは教育用にも使われているプログラミング環境で、繰り返しや分岐、状態の変更などを示す「部品」を組み合わせてプログラムを作っていく(関連記事:Raspberry Piを一人1台提供した小学校も登場、どこまで広がる? プログラミング学習)。GPIOは汎用入出力端子のこと。スイッチやLED、モーターなど外部の機器を接続してソフトウエアで制御できる。我が家で購入したRaspberry PiのモデルBは26ピン、最新のモデルB+は40ピンの端子を備えている。

 どんなものが出来たのか、まずは完成形を見てもらった方が早いだろう(写真1~3)。ゲームを操作するボタンと結果を表示するLEDを埋め込んだ「きょう体兼コントローラー」を制作し、GPIO経由でRaspberry Piに接続した。Raspberry PiではScratchでゲームを動かす。コントローラーとの入出力もScratchが制御する。ゲームの進行やスコアは画面に表示する。

写真1●完成したRaspberry Piベースのゲーム機。小学4年生の工作だ。こちらはきょう体兼コントローラー
写真1●完成したRaspberry Piベースのゲーム機。小学4年生の工作だ。こちらはきょう体兼コントローラー
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写真2●コントローラーからの配線はブレッドボードを経由してRaspberry Pi本体につながっている
写真2●コントローラーからの配線はブレッドボードを経由してRaspberry Pi本体につながっている
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写真3●ゲームの開始や進行を示すメッセージ、スコアは画面に表示する
写真3●ゲームの開始や進行を示すメッセージ、スコアは画面に表示する
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 「これはひどい」と思ったかもしれないが、小学4年生の夏休みの自由研究である。大人が教えることはあっても手は出さず、作業は子どもに任せるのが筋だ。そもそもRaspberry Piを使ったのは、子どもが「ゲームを作りたい」と言い出したから。元々プログラミングに触れさせたいと考えたので、外部のデバイスともつなげやすいRaspberry Piをそのプラットフォームとして選択した。