「未来の社会を支える技術」「社会を変える技術」と聞いたら、何を思い浮かべるだろうか。筆者が所属する日経BPクリーンテック研究所は、この社会を変える技術やアイデア、あるいは制度改革などをテーマに活動している。

写真●小型のマルチコプター型のドローン
写真●小型のマルチコプター型のドローン

 そして今年、一つ活動を始めたテーマが「ドローン」である。ご存じの方も多いだろうが、ドローンというのは無人で飛ぶ飛行体、いわば飛行ロボットで、UAV(Unmanned Aerial Vehicle)などとも呼ばれる。固定翼のもの(飛行機型)、回転翼を持つマルチコプター、リモコンを使って操縦するもの、オートパイロット機能を持つものと、タイプは様々だ。

 このうち、今一番注目度が高まっているのは、オートパイロット機能を備えた、直径1メートル程度の比較的小型のマルチコプターだろう(写真)。米アマゾンが軽量品のデリバリーに使うプロジェクトを推進していたり、数多くのドローン・ベンチャーが登場してきていたりするためである。

着々と利用企業が広がっている

 既にいろいろな場面で使われるようにもなってきている。例えば報道機関。広島の土砂災害、御嶽山の噴火などの様子を上空からとらえた映像の一部は、ドローンを飛ばして撮影したものである。ほかにも、大規模な太陽光発電施設であるメガソーラーのパネル監視、高速道路の点検、農薬の散布、道案内、山岳地帯でのAED(自動体外式除細動器)搬送といった例がある。

 カメラを搭載すれば撮影ロボットや監視ロボットになるし、単純に搬送ロボットになる。実際、ベンチャー企業の米マターネットは、道路などのインフラが整備されていない地域での物流にドローンを活用しようとしている。このように、搭載するモノや、その使い方次第で、かなりの用途の広がりを期待できそうである。

 搭載したバッテリーを使って飛ぶため、航続距離は長くない。長時間、あるいは長距離を飛ばすには、途中でバッテリーを交換する必要がある。ただ、中継点となるヘリポートのような場所でバッテリーを自動交換する仕組みも考えられている。こうなると、用途はさらに広がっていく。

 このドローンを、もっと広範囲で活用していくには何が必要か。法改正を含む法整備、技術面の改善点、使い方の注意点、いろいろな視点があるだろう。そこで、企業の会員を募って、ドローンの製品動向や関連する法規制の現状、具体的な活用例などを学びつつ、もっとほかの活用シーンについて議論する「ドローン研究会」を立ち上げた。高額にもかかわらず、約40社にご参加いただいている。