「馬車馬のように働く」という言葉がある。2014年9月26日にその言葉について考え込んだ。きっかけは本サイトITproの編集長が書いた『悩める20代のプライベート』という一文を読んだことだ。その中で編集長は26日に公開した拙文『「20代で頭を鍛え損なった人がすべきこと」に取り組む50代のある半日』に触れ、次のように評していた。

20代は馬車馬のように働いたほうが仕事ができるようになる確率が高い、と読みました。

 違う。そのようなことを書いたつもりは毛頭ない。直ちに「あなたは読み違えている」とITpro編集長にメールを送ろうとしたが自分が書いたコラムに誤読される余地があったのかと思い直し、編集長の一文と拙文をもう一回読んでみた。その結果考えたことを以下に書く。

 最初にお断りしておくと本稿は長い。大きく二つに分かれており前半は「20代で頭を鍛え損なった人がすべきこと」について、後半は仕事に悩んでいると思われる同僚を見たときにどうすればよいかについて、筆者が思うところを記した。

 まずは前半である。『悩める20代のプライベート』の中で編集長は筆者が書いた次の一節を引用していた。

20代の経験がその後の仕事振りを決める、すなわち仕事ができる頭は20代でつくられる、という話は昔からしばしば聞いた。この件は何回か書いたが大事だからまた書く。

何かを成し遂げた人に『どうしてできたのか』と問うと若い頃の経験を必ず持ち出された。例えば、製品の企画、設計、生産、営業、客先への搬入、障害対策、保守を全部やらされて苦労したが、物事を判断する軸が頭の中に複数でき、その後の仕事にとても役立った、といった話である。