携帯電話大手3社から通話定額制の新料金プランが出そろって、3カ月あまりが経過した。個人のほか、法人としても採用を検討中か、既に新プランに切り替えた企業もあるだろう。

 料金水準は3社でほぼ横一線。通話料は国内に限れば発信先を問わず完全に定額で、端末がスマートフォンなら月額2700円、フィーチャーフォン(従来型携帯電話機)なら同2200円になる。この通話料に、容量に応じて料金が変わる定額制のデータ通信料金が加わる。

 法人も対象になる新プランは、社外との通話が多い業務を持つ企業にとって魅力的なはずだ。通話量が多いユーザーなら、新プランは通信事業者が用意する料金メニューの中では最も安い選択肢になる。データ通信についても、NTTドコモやソフトバンクモバイルは家族の代わりに「企業全体」で合算して使える仕組みを採用し、法人需要にしっかり応えている。

 一方で、ユーザー企業からは今回の料金プランの損得を冷静に見る向きもある。大口契約を結んでいる企業の中には、既に「事実上の通話定額制」を実現しているケースが少なからずあるからだ。しかも一部企業は、今回の新プランを明らかに下回る料金水準を勝ち取っていた。

 日経コミュニケーション誌は、このような企業が支払っている通信料金の実態に迫る調査を今夏に実施した。調査から分かったのは、通信事業者と企業の相対契約によって料金水準や支払い方が想像以上に多様化している実態だった。通信支出を抑えるために先行企業が実践している知恵も見えてきた。ここで、その一部を紹介しよう。

月額1000円で「事実上のかけ放題」

 通信支出の実態調査は、上場企業3200社を対象にした毎年恒例の「企業ネット/ICT利活用実態調査」の2014年版の一環で実施した。携帯電話やWAN回線などの通信サービスのほか、ルーターや無線LAN機器など通信機器への支払額や投資動向などを、企業からアンケート調査で聞き取っている。

 特に、携帯電話への支払額やスマートフォンやタブレット端末の購入価格は、1回線当たりの料金や1台の購入単価を、初めて金額で直接回答してもらった。これにより、企業のモバイル通信関連の支出状況が詳細に把握できた。