「短納期な小規模案件が増えるにつれ、人手に頼った従来のSIerのやり方が割に合わなくなってきた」。DTS ITインテグレーション事業部 ITプラットフォーム担当 プロジェクトリーダの小野寺 弘行氏は言う。

 同社の従来のやり方では、サーバー1台を用意するのに、パラメーターシートを使って何時間も掛けて人手で設定、確認していた。しかし小規模案件では、ここまでの工数を掛けていては採算が合わなくなる。そこで同社の現場は2011年以降、開発・運用ツールをフル活用して作業を自動化する方向に舵を切った。

 現場の作業を効率化する開発・運用ツールの代表格が「チケット管理・PMツール」、「CI(継続的インテグレーション)ツール」、「環境構築ツール」といったものだ。チケット管理・PMツールでは「Redmine」、「Trac」などが有名だ。現場が実施すべきタスクを「チケット」として担当者に割り当て、チケットごとの進捗状況でプロジェクト全体を管理する。

 CIツールはビルドツールやテストツールと連携して、ビルドやテストの作業を自動化する。オープンソースソフト(OSS)の「Jenkins」や米Microsoftの「Team Foundation Server」がよく知られている。環境構築ツールはサーバーインフラの準備を自動化するツールだ。コマンド一つで仮想マシンを作成し、OSやミドルウエアをインストールし、各種設定を実施する。いくつかのジャンル別に異なるツールがあるが、ミドルウエアのインストール・設定では「Chef」や「Puppet」に存在感がある。

 現場を効率化する開発・運用ツールだが、一つ問題がある。様々なツールが存在し、どのツールを使うべきか分かりにくいことだ。「Chef実践入門」(技術評論社)などの著書があるITエンジニアの吉羽 龍太郎氏は「ツール選択のポイントは“勝ち馬に乗る”こと。利用者の多いツールは、プラグインや使いこなし情報がどんどん充実していくからだ」という。

 そこで本誌は2014年7月10日から8月21日にかけて、インターネットで「開発・運用ツール利用実態調査2014」を実施した。調査の実務は日経BPコンサルティングが担当。ITproを通じて、告知とメール配信で回答者を募った結果、1066人から有効回答を得た。現場ではどのツールが選ばれているのか、それをどう活用しているのか。これからその結果を紹介する。