【記者の眼】

新技術を事業にしようと苦心する人と、口先だけの人の差を実感

大豆生田 崇志=日経コンピュータ 2016/09/20


 筆者は15年ほど前から、ある新技術を数回記事にしたことがある。最近、その技術についてベンチャーから話を聞く機会があった。そのベンチャーは技術を活用したサービスを手がけてきて、あることに気づいた。IT業界には、新技術を事業に生かすよりも、新技術について語ることがビジネスという人が多いことだった。

 その新技術とは、企業の売上高などの財務データを標準化したXBRL(eXtensible Business Reporting Language)というXMLベースの言語である。XBRLは、2008年に金融庁のEDINET(電子情報開示システム)で、有価証券報告書などの財務諸表部分に導入が義務化された(図1)。

図1●金融庁のEDINET
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 上場企業の開示情報を閲覧できるTDnet(適時開示情報閲覧サービス)も、決算短信をXBRLで提出することが求められている(図2)。

図2●TDnet(適時開示情報サービス)
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 それまでは、企業が開示する紙やPDFの財務データをいちいちコンピュータに入力し直す必要があった。XBRLであれば、インターネットから自動的にデータを取り込んで、コンピュータがあたかも数字の意味を理解しているように処理できる。いわゆる機械可読(マシンリーダブル)になる。正確かつ迅速に分析や比較ができるわけだ。

 XBRLを活用すれば、企業の財務状況を比較するために数値を転記したり計算式に入れたりしなくてもすむ。筆者は2001年に初めてXBRLの記事を書き、2008年の記事でも経緯を紹介した。

 XBRLの対象範囲は現在、有価証券報告書や四半期報告書などの開示書類の全体に拡大している。企業業績の数字を伝える速報で使われ、大手ベンダーが販売している財務会計システムの多くも、XBRLを扱う仕組みを組み込めるようになっている。会計ソフトを使っている方は、知らずにXBRLを利用しているかもしれない。

 XBRLを活用するベンチャーなら、さぞXBRLを礼賛すると思われるかもしれない。実は違った。そのベンチャーが強調するのは、いかに既存の技術と組み合わせて、利用者にとって使いやすくしてきたかだ。XBRLを今のIT業界の状況に当てはめて、IoT(Internet Of Things)やブロックチェーン、AI(人工知能)などに言い換えてみると、分かりやすいかもしれない。

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