以前この「記者の眼」で、日本のIT業界のビジネスモデルと業界構造、つまりSIの人月商売と多重下請け構造が、どれだけ多くの問題点をはらみ、IT業界のみならず日本全体に害毒をいかに撒き散らしているかについて、45の問題点を示した(関連記事:IT業界の人月商売、多重下請けがもたらす45の害毒)。

 この記事はIT業界で働く多くの技術者やITベンダーの経営幹部、そして発注元のユーザー企業のIT部門の皆さんの琴線に触れたようで、実に多くの読者に読んでいただいた。ソーシャルメディアでも、Facebookでのシェア数が2100以上に及ぶなど、この記事を“ネタ”にIT業界の人月商売と多重下請け構造の問題点について活発な議論が行われた。

 私もTwitterでの読者のつぶやきなどを丹念に追いかけて、皆さんの意見に触れた。そうすると、記事に対する共感や賛同とともに、「ずっと前から言われてきたこと」「問題なのは分かるが、それを指摘したところでIT業界は変わらない」といった意見が数多くツイートされていることに気が付いた。

 中には「木村は45の問題点を指摘して煽っているが、解決策を何も提示していないじゃないか」という指摘や、「解決策について他の読者の意見を聞いてみたい」との発言もあった。そこで今回は、まず私が人月商売や多重下請け構造からの脱却に向けた方策について書き、最後に読者の皆さんからのご意見を受け付けるアンケートを用意した。

 IT業界の技術者は82万人。実にその7割近くが受託ソフト開発を手掛け、人月商売と多重下請けの現場で働く。それでも今、空前の技術者不足だという。みずほ銀行のシステム統合やマイナンバーなどの大規模プロジェクトが重なったためだ。しかし宴の後、受託ソフト開発に携わる技術者には厳しい現実が待つ。今のうちに現状の問題点と将来への課題を考えておいたほうがよい。皆さんのご協力をお願いしたい。