写真1●ソフトバンクロボティクスが2015年2月に発売するパーソナルロボット「Pepper」
写真1●ソフトバンクロボティクスが2015年2月に発売するパーソナルロボット「Pepper」
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 ロボットがIoT(Internet of Things)を次のレベルに引き上げるだろう――。こうした思いを強くしている。

 米グーグルがロボット関連企業を複数買収したり、ソフトバンクロボティクス(発表当時はソフトバンクモバイル)がパーソナルロボット「Pepper」を発表したりと、ここ1年ほどロボット関連の話題には事欠かない(写真1、関連記事:ソフトバンク、家庭向けの人型ロボット「Pepper」を2015年2月に発売)。

 最近筆者は、Pepperなどのロボットの動向を取材して回っている。その取材を通じて、今のロボットブームをIoTの流れの中に位置付けるべきだと考えるようになった。ロボットがクラウドの力を借りて進化し、クラウド側もロボットをIoT端末として活用する未来が近づいている。

IT企業が主役に

 ソニーがペットロボット「AIBO」の初号機を発売したのは1999年のことだ。約15年の後に巻き起こった今回のロボットブームが新しいのは、ロボットそのものを開発する企業ではなく、ロボットをIoT機器として活用するIT企業が主役になっていることだろう。クラウドとの連携がロボットの前提になったのである。

 理由の一つは、ロボット単体ですべての処理を行うのは現実的でなかったことだ。例えば米アップルが「iPhone」に搭載した音声インタフェース「Siri」のように、音声や画像の情報から意味(言葉、動作、空間など)を見いだす処理の多くは機器とクラウドの連携によって実現されている。

 データを蓄積し、学習しておくことで意味を理解できるようにする処理が適しているのはクラウドだ。では、ロボットの役割は何か。多様なセンサーで現実世界の様々な情報を集めること、そして駆動装置(アクチュエーター)を使って現実世界に働きかけることだ。