日経コンピュータ9月1日号の特集記事「答えはGEにあり」(以下、GE特集)でデスクを担当した。世界最大の重電企業である米ゼネラル・エレクトリック(GE)の「デジタル化」の動向を、正面から取りあげた内容だ。

シリコンバレーにGEが設立したGEデジタルの拠点
シリコンバレーにGEが設立したGEデジタルの拠点
(撮影=中田 敦)
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 知らない人が多いと思うので簡単に説明しておくと、デスクというのは記者を支援し、記事のクオリティに責任を持つ役割だ。最終的に良い特集記事になるように、記者と編集長の間に立ってさまざまな調整を行う。記者がやりたいテーマをどう記事の企画として成立させるかを一緒に考え、時にはアイデアも出す。編集長の意図や要望を踏まえつつ、出てきた原稿をしっかり読んで、読者に伝わりやすいように整形したり、修正したりする(査読という)。デザイン面でも記者や編集長のアイデアが最大限に具現化できるように、いろいろ努力する。とはいえ、あくまで裏方である。出来上がった記事は記者のモノだし、メディアは編集長のモノだからだ。

 日経コンピュータ/ITproの記者はみんな優秀なので、あまりデスク作業で苦労することはないが、企画がヨレヨレだったり、記者の力量が不足していたりすると、デスクの仕事は大変になる。編集長が求めるクオリティの水準を超えるためにあれやこれや手練手管を使う必要があるからだ。反対に拍子抜けするほど楽なケースもある。実は今回のGE特集は自分のデスク歴を振り返っても一二を争うほど「ものすごく楽ちん」な仕事だった。

 誤解無きように言っておくと、今回のGE特集は編集長も認める我々の自信作だ(関連記事:【ITpro編集長日記】特集は「答えはGEにあり」)。GEの動向は、日経コンピュータの読者全員がいま必ず知っておくべき情報だと思っている。過不足無く、ちょうど良い案配で、バランス良く必要な全ての情報を網羅した。タイムリーさも内容も構成もとてもうまくできたと自負している。

 しかも今回のGE特集は全部で22ページのボリュームがある。通常の日経コンピュータの特集記事は通常14ページだから1.5倍以上の分量である。主筆であるシリコンバレー支局の中田敦記者がまとめた18ページの記事に加えて、GEのデジタル戦略の要を握るビル・ルーCDO(最高デジタル責任者)への編集長インタビューを国内で実施して組み込んだ。

 なのに楽だったのはなぜか。初期段階から企画にブレがなく、取材も順調に進んだ結果、企画段階で記者が宣言したとおりの内容の原稿が期日通りに出てきたからだ。ロジックもそれを支えるファクトもちゃんとしてる。しかも内容はめちゃくちゃ面白い。デスクである私としては単なる一読者のように「へーそうなんだ」「すごいじゃん」とか感心しながら読み進め、ときおり見つかる小さな瑕疵を少しだけ修正するだけで良かった。構成ボロボロなのをどう直そうと頭を悩ませたり、締切に間に合うかハラハラしたりなどは一切しなくて済んだ。