アップルの製品発表イベントが現地時間2016年9月7日に開かれる。新iPhoneが発表されると目されている。名称が「iPhone 7」になるとの話も含め、いろいろなリーク情報が飛び交っている。実際にどうなるかは発表を待たねばならないが、注目したい10のポイントをまとめてみた。

ポイント1 3CC CAに対応するか

 複数の周波数帯域を束ねて伝送容量を増やし、高速化する技術が「キャリアアグリゲーション」(CA)だ。また、束ねる周波数帯域の数を表す用語として、CC(コンポーネントキャリア)がある。2つを束ねるのが2CC、3つを束ねるのが3CCと呼ばれる。

 国内の3大携帯電話事業者は、2015年11月のNTTドコモを皮切りに、2016年にKDDIとソフトバンクも3CCの商用サービスを開始している。各キャリアによって周波数帯域の使い方が異なるため、最大伝送速度も若干違ってくる。

 例えばNTTドコモのサービスでは、2GHz帯と1.7GHz帯の2CCでは最大受信速度が262.5Mbps。これに800MHz帯を加えた3CCでは、最大受信速度が375Mbpsとなる。

 3CCを利用するには、端末側の対応も必要だ。ところが、iPhone 6s/iPhone 6s Plusは端末仕様として対応するのは、2波を束ねる2CCのみ。3CCには未対応だ。

 262.5Mbpsと375Mbpsの差をどう見るかは人それぞれかもしれない。ただ、iPhoneの更新タイミングは1年に1回なので、今回対応しなければ来年まで待たされることになる。今回の新iPhoneでぜひ対応してほしいところだ。

ポイント2 3.5GHz帯に対応するか

 LTE向けの新たに追加された帯域として3.5GHz帯がある。NTTドコモは2016年6月に、対応端末と併せて、3.5GHz帯の商用サービスを開始した。主に人が密集するエリアでスポット的に使われると言われており、快適に使えるようになると期待される。

 ただ、3.5GHz帯は、モバイル用の周波数帯としては、既存帯域よりもかなり高周波なので、技術的なハードルも高そうだ。実際、ドコモの端末は、スマートフォンではなくモバイルルーターである。

 新iPhoneが対応する可能性はあまり高くないかもしれないが、期待せずに待ちたい。

ポイント3 背面からDラインが消えるか

 iPhoneきょう体は金属で出来ている。例外は、上下にある白い樹脂のラインで、いわゆる「Dライン」だ。

 Dラインは金属きょう体の一部をアンテナとして使うため、樹脂で分けたものだ。デザインは人の好みによるところが多いので、ひょっとしたらこれを気に入っている人もいるかもしれないが、個人的には見苦しく感じる。普段使っているときには気にならないものだが、ふと背面を眺めると、やはり気になってしまう。

 様々なリーク情報によると、新iPhoneからはDラインが消えるという。これはぜひ実現してほしい。

 技術的な観点から言うと、アンテナの実装としてどのように工夫したのかも気になる。こちらは、発売されてから実機を分解してみないと分からないだろう。

ポイント4 ベースバンドプロセッサーのメーカーが変更になるか

 一般ユーザーから見るとマニアックな話題だが、業界的には大きな話題の1つと言えるかもしれない。

 ベースバンドプロセッサーは、スマートフォンを構成する基幹部品の1つ。端末のLTE通信の高速化は、このブロードバンドプロセッサーによるところが大きい。

 今回、このベースバンドプロセッサーの供給元に異変があると噂されている。これまでiPhoneのベースバンドプロセッサーはクアルコムが提供してきた。それがインテルに代わるというのだ。

 ベースバンドプロセッサーの全量をインテルが供給するのか、それともモデルごとにインテルとクアルコムを使い分けるのか、不明だ。もちろん、インテルが供給すること自体確実な情報とは言えないが、これが実現すれば発表会中で言及があるかもしれない。

 これに関連して、もう一つ面白い観点がある。実はiPhone 4までは、クアルコムではなくインフィニオン テクノロジーズが供給してきた。そして、インテルのベースバンドプロセッサー部隊は、このインフィニオンから買収したのだ。この意味では、もしインテル製のベースバンドプロセッサーが採用されるとなると、一種の先祖返りとも考えられ、興味深い。