「石を投げれば眼鏡職人に当たる」──。福井県鯖江市では眼鏡産業が盛んで、携わる人の多さをこう表現する。実際に鯖江商工会議所に問い合わせると、眼鏡関連の会員事業所は396件(2013年度末時点)もあるという。
経済産業省の大臣官房調査統計グループが出している『平成24年 工業統計表[品目編]』を調べてみると、全国のメガネフレームの出荷額の95.9%を福井県が占める。
そんな福井県を筆者は、2014年7月末日に訪れた。ウエアラブル端末にどう取り組んでいるかを取材するためだ。
福井県は現在「ウェアラブル先進県」を宣言し、ウエアラブル関連のIT企業を誘致している。福井県国体推進局の和田敬信企画幹は、「眼鏡や繊維などの地場産業を、ウエアラブル端末の普及にあわせて一緒に盛り上げたい」と話す(写真1)。補助金を設けるだけでなく、実証実験の場も提供する。たとえば、土地や建物の取得費用や賃貸料、事務機器のリース料を補助する(原則として県と市町が3分の1ずつ)のに加えて、地元在住者の雇用奨励金(1人月30万円)などの制度を作った。