東京メトロは2014年9月12日から全線の列車位置や遅延時間などを公開して、データを活用したアプリの開発を競う「オープンデータ活用コンテスト」を開催する。しかしオープンデータに詳しい関係者からは東京メトロのデータ公開を歓迎しながらも、「これはオープンデータといえない」という声が上がっている。

図1●東京メトロの「オープンデータ活用コンテスト」告知サイト
図1●東京メトロの「オープンデータ活用コンテスト」告知サイト
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 コンテストの応募要領は、9月12日に開設する応募用特設サイト内で公開される予定だ。日本の鉄道事業者としては全線の列車位置などを公開するのは初めてという。

 筆者が取材で訪ねたアプリ開発会社にも、コンテストに応募すると意気込む企業があった。英ロンドンの地下鉄などでは、既に列車の位置情報を示したデータが公開され、走っている列車がインターネットで見られるサイトがある。どんなアプリが登場するかワクワクさせてくれる取り組みだけに、インターネットのSNSなどで話題を呼んだ。鉄道事業者の間でも注目を集めているようだ。

 ところが東京メトロの発表後、疑問の声が上がった。9月12日の応募用特設サイトで公開される予定の「応募規約」が、なぜかスマートフォン用ホームページではリンクから閲覧できる状態となっていた。その規約の内容が「オープンデータ」の定義と異なっていたためだ。