AI(人工知能)が組み込まれたスマートスピーカーが、いよいよ日本の家庭に入ってくる。LINEが開発した「WAVE」だ。

 話しかけると答えてくれるWAVEは、常に自宅の音に聞き耳を立てる存在でもある。果たして安心して家庭に迎え入れていいものか。先行体験版で検証した。

LINEのAIスピーカー「WAVE」の先行体験版。2017年8月31日時点で販売は終了している。
LINEのAIスピーカー「WAVE」の先行体験版。2017年8月31日時点で販売は終了している。
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 WAVEは、人の音声を認識して受け答えするAIを搭載したスピーカー。米アマゾンドットコムの「Amazon Echo」や米グーグルの「Google Home」と同種の製品だ。とりわけEchoはAmazon.comのストアを活用する機能やサードパーティへのアプリ開放、そして実売で約45ドルからという低価格が人気を集めている。

 WAVEは競合に先駆け、日本で初デビューとなった。先行体験版と位置付け、1万円で提供した。正式版は1万5000円で2017年秋に発売する。

 WAVEは、LINEのAI基盤「Clova」のユーザーインタフェースとして機能する。「クローバ」または「ジェシカ」と呼びかけると音声認識が始まり、「音楽をかけて」「明日の天気は?」といった自然言語を解釈して応答してくれる。

 先行体験版では、LINE MUSICの音楽再生や天気・時刻などの受け答えが機能の中心になる。正式版では、ファームウエアのアップデートで赤外線リモコン機能を追加する計画だ。

常に聞かれているというストレス

 ただ家族に受け入れられるか、正直不安だった。マイクやカメラを家庭内に設置するのは、家庭内IoTを楽しむ記者にとっては特に抵抗がない。しかし家族にとってはそうでもないようだ。

 ある時子供が、言った言わないの兄弟げんかをしたとき、「ビデオ判定よろしく録音しておいて、後から確認できるようにしてみては」と提案したところ、家族全員に猛反対された。白黒を付ければよいというものではなく、「常に録音されている」という状態がとてつもないストレスになるというのだ。

 米国ではAIスピーカーの録音機能にまつわる騒動も起きている。2016年12月、米Informationの報道を皮切りに、米アマゾンドットコムに対して米検察当局がEchoの録音データの提出を求めた事実が明らかになった。Echoの発売は2014年11月。容疑者宅のEchoが犯罪発生時の音声を録音していた可能性があったからだ。

 ではWAVEはどうなのか。