Amazon Web Services(AWS)とMicrosoft Azureの技術専門ニューズレター「日経クラウドファースト」を2016年4月に創刊してから約4カ月。先日、通巻4号となる8月号の読者評価の結果がまとまり、ある記事が創刊以来の最高評価を得た。その記事は、仮想プライベートネットワーク/専用線接続サービス「Amazon Vitual Private Cloud(VPC)」「AWS Direct Connect」を解説・検証したものだ。

 うれしい半面、意外な結果に驚かされた。記事で扱ったクラウドサービスが地味だったからだ。

 VPCとDirect Connectはいわば、ユーザー企業がAWS上に社内ネットワークを拡張するサービス。AWS上に「VPC」と呼ぶユーザー企業専用の論理的に切り離したプライベートネットワークを設け、オンプレミス(自社所有)環境と専用線によってつなぐ。

 クラウドの利点を生かした、これまでにない新しいサービスではない。派手さがないどころか、むしろその逆。(仮想)プライベートネットワークというオンプレミス環境では当たり前のことを、クラウドで実現するだけだ。

 そんなVPC/Direct Connectの記事が読者評価トップになったのはなぜか。読者のコメントなどを読んで気付いた最大の要因は、大多数の読者が携わるエンタープライズ分野のシステムでVPC/Direct Connectが必須だから、というシンプルなことだった。

 ここでは、VPCについて解説・検証した内容の一部を紹介しよう。なおVPCというサービスで実現した仮想プライベートネットワークも「VPC」と呼ぶ。両者を区別するために、VPCというサービスは「VPCサービス」、仮想プライベートネットワークを「VPC」と呼ぶことにする。