今日から9月。季節は夏から秋に移ろい始めている。夏の定番であるオバケや怪談の旬もそろそろ終わりだ。

 ところがITの世界には、夏が去っても消えそうにないオバケが居心地良さそうに住みついている。「動かないコンピュータ」を引き起こすオバケ(以下、「動かない」オバケ)である。

これって「動かない」の取材じゃないか

 日経コンピュータでは、企業向けIT関連製品やサービスに関する満足度をCIO(最高情報責任者)や情報システム部長などが評価する「顧客満足度調査」を、毎年実施している。今回、「顧客満足度調査 2014-2015」(2014年8月21日号に掲載、関連記事)を担当した筆者は、特集の一環として回答企業への直接取材を試みた。主な選択基準は、(1)非常に多くの不満を抱いている、(2)回答の裏に何らかの事情があると感じされる、(3)読者の共感を呼びそうなコメントを書いている、である。

 幸い、関東・中部・関西地区の中堅中小企業10社の回答者、が取材に応じてくれた。匿名を条件とする代わりに、回答の裏にある事情や本音を聞くことができた。

 話は大変興味深いものだったが、取材を進めるうちに、だんだん不思議な感覚にとらわれていった。「これって『動かないコンピュータ』の取材じゃないか」──。