社長や上司から「ウチも人工知能(AI)で何かできないのか?」と言われたら、エンジニアはどう対応すべきか。今日はそんな話をしてみたい。

 その前に、いきなり個人的な話で恐縮だが、2017年6月末に筆者のそれまでの所属媒体である『日経情報ストラテジー』が休刊した。メンバーはそれぞれ新天地に移り、筆者も7月からITproで新しい仕事に取り組んでいる。

 とはいえ、筆者の場合は取材領域や仕事の役割が大きく変わるわけではない。これまでの取材先や連載の著者などと今後も顔を合わせ、仕事をご一緒する機会が多いだろう。

 ビジネスパーソンなら当然の行動といえるが、筆者も例外に漏れず、7月からのこの2カ月間は、これまでお世話になってきた取材先や連載の著者などに会いに行く「あいさつ回り」を続けてきた。まずは雑誌休刊の経緯を自分の口から直接説明し、そのうえで今後の自分の仕事内容や課せられたミッションを聞いてもらったり、相談に乗ってもらったりしている。

 こうしたあいさつ回りは新たなビジネスチャンスをつかむ絶好の機会であることも、ビジネスパーソンなら皆、理解しているはずだ。筆者も雑談がてら、「最近の関心事は何ですか?」「どんな記事を読みたいですか?」「御社で新しい動きはありませんか?」と話を振ることができる。

 もっとも、露骨にそんなことばかりしていたら、「あいさつに来たのではなく、ネタ拾いに来たのだろう」と勘ぐられてしまうだろうが。

取材先に行くと、自然にAIやIoTの話が出る

 しかし、今回のあいさつ回りではそんな心配は無用であることに気づきだした。こちらから話を振らなくても、相手のほうから自然に「AI」と「IoT(インターネット・オブ・シングズ)」という二つのはやりのITキーワードや、どの企業も無視できなくなった「働き方改革」について語り始めることがほとんどだったからだ。筆者の関心もまさにそこにあり、話は大いに盛り上がる。

 そんななか、相手がエンジニアであろうと広報担当者であろうとマーケッターであろうと、似たような悩みを抱えているという現実が見えてきたのは大きな収穫だった。それが冒頭の一言。

 「ウチもAIで何かできないのか(アピールできないのか)?」と社長や上司に言われるケースが増えて困っている、という話だ。