拡大の一途をたどるBtoCのネット市場。経済産業省の発表によると、2015年には7兆2398億円に達し、全国の百貨店売り上げを越えた。洗剤やトイレットペーパーまでネットで購入する時代になった。

 ネット事業者はサービスを競い合い、利便性を高める。アマゾンジャパンが注文から1時間で商品を届ける「Prime Now」の提供を開始したのに続き、この8月末からはアスクルが運営するBtoCサイト「LOHACO(ロハコ)」が、配送時間を1時間刻みで指定できるサービス「Happy On Time」を開始する。配送10分前には「今からお届けします」という通知が利用者のスマホに届く(写真1)。「シャワーを浴びているときに荷物が届いて困った」といった悩みから解放されそうだ。

写真1●「LOHACO」のアプリはお届け10分前にスマホに通知
写真1●「LOHACO」のアプリはお届け10分前にスマホに通知
(写真提供:アスクル)
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 消費者の利便性が高まる一方で、物流の現場は深刻化する人手不足に悩んでいる。宅配トラックのドライバーの奪い合いは、東日本大震災直後から激しくなっている。物流センターが集中するエリアでは、ピッキングや梱包を担当するパート従業員が集まりにくくなっている。

 そこで注目を浴びるのがロボット。物流業者や大手EC企業では、これまで人手に頼らざるを得なかったピッキングなどの作業にロボットを導入し始めている。アスクルもその1社。埼玉・所沢の「ASKUL Logi Park首都圏」に2台のアーム型ロボットを導入した(写真2)。ロボットベンチャーのMUJIN(東京・文京)が開発したコントローラーで制御し、3Dカメラを使って商品やケースの画像を認識し、指定された商品を取り上げて、出荷用のケースの空きスペースに器用に移す。

写真2●2台のロボットが、倉庫から運ばれてきた商品をピッキングして出荷用ケースに移す
写真2●2台のロボットが、倉庫から運ばれてきた商品をピッキングして出荷用ケースに移す
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