体調が悪いと感じたとき、あなたはどうやって対処するだろうか。「額に手をあててみる」「体温計で熱を測る」は思いつきやすい。平熱とあまり変わらないのか、風邪で高熱を出しているのか、によってその後の対処も変わってくる。

 「元気が出ない、早退したいな」と思っても、誰かに説得力を持って伝えるのは難しいかもしれない。自分自身でも、単なる気のせいなのか、病院で診てもらうべきなのか、判断に迷うことがあるだろう。体温を測って数字で示せば、身の回りの人も自分自身が把握するのにも役立つ。

 仕事や勉強の成果についても同様だ。数字を使って測る必要がある。「これだけ頑張ったから成績にもつながっているはず」と考えていても、実は成績は伸びていない。往々にしてあることだ。反対に「着実に結果につながっている」「思ったより悪くない」という発見があるかもしれない。

 企業の成績が伸びているかどうかを調べるには、売上高や営業利益などの指標を使うのが分かりやすいだろう。前年に比べて事業は成長しているのか、5年前に比べて縮小しているのか。上場企業であれば、株主や投資家などに向けて発表している。事業やセグメントごとの伸びを調べたり、四半期ごとの推移を比較したりすると発見があるかもしれない。

 筆者は以前、「1勝8敗!『口からでまかせ』と言われそうなITベンダーの業績見通し」という記事を書いた。国内の大手ITベンダーが、年度当初に立てた業績予想を達成できているかどうか、決算短信を調べ、9年間の達成頻度について確認した。

 今回はこのうち特に「元気が無いな」と感じている企業について、数字を追ってさらに調べてみた。NECだ。直近の2016年4~6月期の連結決算は厳しく、営業利益は299億円の赤字。第1四半期の赤字額としては、2008年に起きた「リーマン・ショック」後の2009年4~6月期に記録した400億円に次いで大きい。前年同期の大型案件の反動減が響いた。

 不調なのはこの3カ月だけなのか。筆者は、NECが開示している決算短信を基に表を作成した()。2008年3月期から2016年3月期までの9年間の数字である。それに、2017年3月期の業績予想も加えている。連結の売上高、営業利益の推移をまとめた。

表●NECの業績の推移
表●NECの業績の推移
決算短信を基に作成した。2017年3月期はIFRS(国際財務報告基準)を任意適用しており、決算短信では対前期増減率を示さなかった
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 するとやはり「元気が無い」と言わざるを得ない結果が得られた。NECはほとんど毎年のように売上高が減少している。